特集記事(高校)

高校

2025.01.22

矢崎先生の つい考えてしまう数学【記事一覧】

記事一覧

2025年1月 2024年12月 2024年11月 2024年10月 2024年9月

はじめに(再掲)

 起床から就寝まで,もしかしたら夢の中でも,まったく一瞬たりとも何も考えることがない日はないでしょう。「考える」を次のように程度によって2種類にわけてみます。

 一つは,どうしたら試合に勝てるだろうか,どうしたら仕事を上手に回せるだろうか,良い成績を収めるにはどうしたらよいだろうか,目の前の問題を熟考する,などという本格的に自覚して「よく考える」ことです。

 もう一つは,もっと素朴に,今日は暑い,なんで?  今日は赤信号によくひっかかる,どうして?  今日は人通りが多い,何かあるの?  などと,一瞬考えて,すぐに理由が何となくわかって,あるいは(深く)考えるほどのことではないと判断して,考えるのをやめる程度の「つい考える」ことです。つい考えることは,しょっちゅうあることだと思います。

 その程度のつい考えることでも,納得する回答が得られたら,すっきりしますし,何かをクリアーして得した気分になることもしばしばでしょう。

 本連載の趣旨は,そのようについ考えることをきっかけとして,もうちょっとだけついつい考えたり,新しい疑問が湧いたり,もっと考えて没頭したり,・・・といった感じに,つい考えることからの展開を楽しむことです。

 言い換えると「つい考えてしまう考えること」の紹介です。そして,その考えることに数学が含まれていること,いやむしろ,読者の皆さんが,考えること自体を数学というのだ,と実感できるような連載になりましたら幸いです。

2024年8月吉日  矢崎成俊

【矢崎成俊(やざき・しげとし)先生 プロフィール】
1970年東京生まれ。早稲田大学理工学部数学科卒業。東京大学大学院数理科学研究科数理科学専攻博士課程修了。現在,明治大学理工学部数学科専任教授。博士(数理科学)。専門は応用数理,特に界面現象の数理解析。実験を採り入れた数学の講義で定評がある。
著書: 『実験数学読本』①・②・③ (日本評論社),『次元解析入門』,『界面現象と曲線の微積分』,『動く曲線の数値計算』(以上共立出版),『大学数学の教則』(ちくま学芸文庫),『公式は覚えないといけないの?』(ちくまプリマー新書),他。
ホームページはこちら

その他のコンテンツ