特集記事(高校)

高校

2026.06.11

【#6】大山壇のmath雑談~入試問題演習~「指数・対数カンタービレ」《数学Ⅱ》

 代々木ゼミナール講師の大山が,大学入試問題を紹介しながら,ワンポイントレッスンをしていく連載記事です。
 以前の連載記事『大山壇の入試問題Pick Up !』とテーマが重複することもあるかもしれませんが,主に高校生・大学受験生に向けた内容にしていきます。生徒のみなさんにとっての演習に,先生方にとっては日々の指導の参考に,少しでも役立てば幸いです。

 今回は『指数関数・対数関数』についての入試問題を紹介します。
 正直言って,あまり重要視されない分野ですよね(苦笑)
 それだけに,意外と盲点の多い分野です。確かに,問題のパターンが多いわけではないので,しっかり計算練習して,確実に得点できるようにしておきましょう!

6.1 指数関数のグラフ

 指数関数 \(y = a^{x}\)(\(a\) は1でない正定数)のグラフは次のようになっています。

【#6】大山壇のmath雑談~入試問題演習~「指数・対数カンタービレ」《数学Ⅱ》01

 いずれにしても単調性がある(途中で増減が変わらない)ので,\(y\) の値が分かれば対応する \(x\) の値がただ一つに定まります。
 また,\(t = 2^{x}\) などとおきかえるときには,\(t\) のとり得る値の範囲が \(t \gt 0\) となることに注意しましょう。

 例えば,\(x\) についての不等式

\(2^{2x+1} + 2^{x}-1 \lt 0\) …①

は,\(t = 2^{x}\) とおくことで

① \(\iff (2^{x})^{2}\cdot 2^{1} + 2^{x}-1 \lt 0\)

\(\therefore 2t^2 + t-1 \lt 0\)

とでき,\(t\) についての2次不等式になります。これは,さらに

\((t + 1)(2t-1) \lt 0\) …②

\(\therefore -1 \lt t \lt \cfrac{1}{2}\)   …③

と解くことができます。
 ここで,\(t = 2^{x}\) のグラフを思い出すと次図のようになり,③に適する範囲は図の灰色部分(グラフは青線部分)です。

【#6】大山壇のmath雑談~入試問題演習~「指数・対数カンタービレ」《数学Ⅱ》02

 よって,①を満たす \(x\) の値の範囲は \(x \lt -1\) となります。

 ちなみに,\(t = 2^{x}\) とおきかえた時点で \(t \gt 0\) と考えているのだから,②の \((t+1)\) は正です。よって,\(t \gt 0\) のもとでは

② \(\iff 2t-1 \lt 0 \iff t \lt \cfrac{1}{2} \)

\(\therefore 0 \lt t \lt \cfrac{1}{2}\)

とできるので,こう考えてから \(x\) の範囲を求めても良いですね♪

 指数関数に限った話ではありませんが,おきかえたら範囲の確認を忘れないようにしましょう!
 さて,シンプルな指数方程式の問題がこちら。基本的な問題です。

【#6】大山壇のmath雑談~入試問題演習~「指数・対数カンタービレ」《数学Ⅱ》03

 指数法則を正しく使えて,また,3次方程式の解法が身についていれば,特に怖くない問題ですね。(解答例はこちら

 次に,指数不等式が「つねに成り立つ」条件を考える問題がこちら。

【#6】大山壇のmath雑談~入試問題演習~「指数・対数カンタービレ」《数学Ⅱ》05

 おきかえたあとの2次関数の下限を考えるのがメインの問題です。等号の付け方などの細かいところでも差がつくので,慎重に解かなければいけません。(解答例はこちら

6.2 対数の定義

 \(y = 2^{x}\) のグラフを考えれば,\(y = 3\) となるような \(x\) の値が,1から2の間にありそうですが,それを表記する方法が無かったのですね。
 そこで,\(2^{x} = 3\) となる \(x\) を \(x = \log_{2}{3}\) と書くことにしたのです。

【#6】大山壇のmath雑談~入試問題演習~「指数・対数カンタービレ」《数学Ⅱ》07

 一般的に,1でない正の数 \(a\) と,正の数 \(P\) に対して

\(a^{n} = P\) となる \(n\) を,\(n = \boldsymbol{\color{#ff0000}\log_{a}{P}}\) と書く

定義したのです。つまり,指数の部分だけを取り出したものが \(\log\) です。
 したがって,大山はこの \(\log_{a}{P}\) を\({\color{#0693e3}\boldsymbol{a}}\) \({\color{#0693e3}\boldsymbol{P}}\) にする指数」と呼んでいます。
 上記の定義が理解できれば

\(\boldsymbol{\color{#ff0000} a^{\log_{a}{P}} = P}\)

という関係が成り立つのも当然ですね。

 例えば,\(\log_{3}{81}\) は「3を81にする指数」であり,\(3^{\log_{3}{81}}\) は「3を81にする指数を本当に3の指数の部分に書いた」のだから

\(3^{\log_{3}{81}} = 3^{\mbox{(3を81にする指数)}} = 81\)

となります。これを,「 \( \log_{3}{81} = 4\) だから…」と考えて

\(3^{\log_{3}{81}} = 3^{4} = 81\)

と,4という具体的な数値を経由しているようでは,例えば

\(3^{\log_{3}{5}} = 3^{\mbox{(3を5にする指数)}} = 5\)

とできないままなので,まだまだ \(\log\) の理解が浅いのです。しっかりと定義を理解しましょう!

 さらに,定義がきちんと理解できれば

\(\boldsymbol{\color{#ff0000} \log_{a^{k}}{P^{k}} = \log_{a}{P}}\)

という関係式が成り立つことも理解できるはずです。
 もちろん,「底の変換公式」を用いて変形すれば成り立つことが確認できますが,そんなことしなくてもダイレクトに意味を考えて分かるはずです。

 例えば,\(2^{5}\) を \(8^{5}\) にするためには何乗すればいいですか?
 これなら「5は関係なく,2を何乗すれば8になるかを考えればいい」と判断できる人も多いでしょう。つまり

\((2^{5})^{3} = (2^{3})^{5} = 8^{5}\)

\(\therefore\)(\(2^{5}\) を \(8^{5}\) にする指数)\(=\)(\(2\) を \(8\) にする指数)\(= 3\)

\(\therefore \log_{2^{5}}{8^{5}} = \log_{2}{8} = 3\)

ということです。

 対数の方程式や不等式を解くときには,底を揃えることが必要になります。
 そんなときに,上の変形ができると速くて見通しが良いので便利です♪

 例えば,\(\log_{2}(x-1) = \log_{4}(3x-5)\) という方程式を解くときには,真数条件「 \(x-1 \gt 0\) かつ \(3x-5 \gt 0\)」のもとで,多くの人が「底の変換公式」を利用することで右辺を

\(\log_{4}(3x-5) = \cfrac{\log_{2}(3x-5)}{\log_{2}{4}} = \cfrac{\log_{2}(3x-5)}{2}\)

と変形して

\(\begin{aligned}\log_{2}(x-1) = \log_{4}(3x-5)
& \Longleftrightarrow \log_{2}(x-1) = \frac{\log_{2}(3x-5)}{2} \\[5pt]
& \iff 2\log_{2}(x-1) = \log_{2}(3x-5) \\[5pt]
& \iff \log_{2}(x-1)^{2} = \log_{2}(3x-5) \\[5pt]
& \iff (x-1)^{2} = 3x-5
\end{aligned}\)

とする,「底を小さくする」手順をとります。しかし,左辺の底と真数をともに2乗することで

\(\log_{2}(x-1) = \log_{2^{2}}{(x-1)^{2}} = \log_{4}(x-1)^{2}\)

と考えて

\(\begin{aligned}
\log_{2}(x-1) = \log_{4}(3x-5)
  & \iff \log_{4}(x-1)^{2} = \log_{4}(3x-5) \\[5pt]
  & \iff (x-1)^{2} = 3x – 5
\end{aligned}\)

とする方が手数が少なくてラクなはずです!

 こういった工夫をウマくして,次の問題を手際よく解きましょう!

【#6】大山壇のmath雑談~入試問題演習~「指数・対数カンタービレ」《数学Ⅱ》08

 スムーズに解けましたか?(解答例はこちら

 そして,次の問題は,手続きの暗記に頼って数学を学習している人は苦労する問題です。

【#6】大山壇のmath雑談~入試問題演習~「指数・対数カンタービレ」《数学Ⅱ》10

 対数の方程式・不等式では,まず真数条件を整理するものと覚えている人が多いでしょう。しかし,それにこだわってしまうと本問はメンドウです。
 そこで,真数条件の整理は一旦保留して先に進めてみると,光が見えてきます!(解答例はこちら


 第6回は以上です。
 どの関数でも,方程式・不等式を解くのは重要なテーマの1つです。各関数の定義を正しく理解して,歌うように解けるようにしておきましょう!
 さて,次回は「図形の眺め方」をとりあげてみようと思っています。お楽しみに♪

【大山 壇(おおやま だん)先生 プロフィール】
宇都宮北高校,東北大学理学部数学科卒。
2006年度から代々木ゼミナールの講師となり,現在は新宿本部校と札幌校に出講しています。対面・映像の授業の他にも,テキスト・模試・解答速報の作成なども行っています。
もっと毒をはいている大山を見たい方は,X(旧Twitter)をどうぞ!→ @dan_oyama_0206
《著書》
・『全国大学入試問題正解』(旺文社)解答執筆(京大,一橋大,東北大など)
・『整数 分野別標準問題精講』(旺文社)
・『全レベル問題集③』(旺文社)
・『全レベル問題集⑤』(旺文社)
・『大山壇の基本から身につける計算力IA』(KADOKAWA)
・『大山壇の基本から身につける計算力IIB』(KADOKAWA)

その他のコンテンツ