以前の連載記事『大山壇の入試問題Pick Up !』とテーマが重複することもあるかもしれませんが,主に高校生・大学受験生に向けた内容にしていきます。生徒のみなさんにとっての演習に,先生方にとっては日々の指導の参考に,少しでも役立てば幸いです。
今回も「関数の最大・最小」をメインテーマとして,3次関数の最大・最小と有名不等式の利用を扱います。
2次関数は平方完成するだけでグラフの様子を把握できたけど,3次以上の関数ではそうはいきません。原則として,微分を使うことになります。
また,既知の不等式を利用して最大・最小を考えることができる場合があるので,そういった問題を紹介しましょう。
4.1 3次関数の最大・最小
3次以上の関数では,特別な場合を除いて,微分が原則です。\(f(x)\) を微分して \(f'(x)\) を求め,\({\color{#0693e3}\boldsymbol {f'(x)}}\) の符号を調べることで \(f(x)\)の増減を把握しましょう。まずはシンプルな問題のこちら。
大山は,\(f'(x)\) の符号を調べるために \({\color{#0693e3}\boldsymbol {y = f'(x)}}\)のグラフを描くことをオススメします(解答参照)。もう少し正確に言えば,\(f'(x)\) の符号を調べたい部分 \(g(x)\) だけを取り出して,\(y = g(x)\) のグラフを描いて調べることがオススメです。
さて,この問題は,極大値をとる \(x\) の値がややメンドウな形になるわけですが,そんなときには次の3つの手法が有効です。
(手法1)そのまま代入する気合いと根性作戦
3次関数ぐらいなら,直接代入計算でも大して時間かかりません。この程度の計算ができないようでは,どうせ他の場面で困ります。頑張りましょう!
(手法2)次数下げの利用
極値をとる \(x\) の値を \(\alpha\) とおくと,\(f'(\alpha) = 0\) が成り立つので,\({\color{#0693e3}\boldsymbol {f(x)}}\)を \({\color{#0693e3}\boldsymbol {f'(x)}}\) で割ることで \(f(\alpha)\) の値を比較的安全な計算で求めることができます。(解答では,係数をラクに処理できるよう \(\cfrac{f'(x)}{3}\) で割っています。)
このような計算を次数下げと言います。
(手法3)立方完成の利用
あまりメジャーな方法ではありませんが,2次関数の平方完成と同様に,3次関数なら立方完成が有効です。任意の3次関数 \(f(x) = ax^3 + bx^2 + cx + d\) は
\(\boldsymbol{f(x) = a(x – p)^3 + m(x – p) + n}\)
という形に変形できます。すると,\(y = f(x)\) のグラフは \({\color{#0693e3}\boldsymbol {y = ax^3 + mx + n}}\)のグラフを \({\color{#0693e3}\boldsymbol {x}}\)軸正の方向に \({\color{#0693e3}\boldsymbol {+p}}\) 平行移動したものと言えるので,関数 \(g(x) = ax^3 + mx + n\) の最大・最小を求めればOKということになります。ただし,定義域も一緒にズラすことを忘れずに!
(解答例はこちら)
そして,2次関数同様,文字定数が含まれるときは場合分けが発生することが多くあります。次の問題は「(1)(2)が何の為にあるのか」が分かると,(3)をスムーズに解けるようになっています。
グラフの概形を考えるというよりも,最大・最小をとる可能性があるのは,端点と極値であることに注目して大小を比べてあげると効率よく解くことができます。(解答例はこちら)
4.2 有名不等式の利用 その1
成り立つことが知られている不等式(有名不等式)を利用して,関数の最大・最小を求めることができる場合があります。その一つが相加平均と相乗平均の大小関係です。
数学Ⅲを学習しない人は,分数形の関数が出てきたら高確率でこれを使うだろうと認識しておきましょう。ただし,等号成立条件に注意しましょう!(以前の連載記事『【#10】大山壇の入試問題Pick Up!「不等式の意味」』を参照)
というわけで,分数形の関数の最大値問題です。
数学Ⅲ学習者は,数学Ⅲの微分を利用してもOKなので,練習だと思ってチャレンジしてみましょう!(解答例はこちら)
4.3 有名不等式の利用 その2
二つ目の有名不等式はコーシー・シュワルツの不等式です。
まずは,気合と根性のゴリ押し計算による証明です。
次はベクトルを利用した証明です。なお,大山は座標とベクトルの混同を避けるため,座標は \((x, y, z)\) といった横ベクトル表記,ベクトルは \(\begin{pmatrix} x \\ y \\ z \end{pmatrix}\) といった縦ベクトル表記を用いています。
そして次は,ややテクニカルな証明です。
したがって,②の判別式 \(D\) に注目して \(D \leqq 0\) が成りたつ。ゆえに
\(\therefore\quad a : b : c = x : y : z\)
さて,このコーシー・シュワルツの不等式を利用するとラクに解けるのが次の問題です。
大山には \(2x + y + 2z\) が
\(\vec{p} = \begin{pmatrix} 2 \\ 1 \\ 2 \end{pmatrix}\) と \(\vec{q} = \begin{pmatrix} x \\ y \\ z \end{pmatrix}\)
の内積に見える特殊能力が備わっている…というのは冗談ですが,\(ax + by +cz\) の形の式が内積に見えるようになると視界が開ける場面は多々あります。
そんなわけで,本問でコーシー・シュワルツの不等式を試してみようと思えるのです。(解答例はこちら)
第4回は以上になります。
大山は絶賛花粉症です(何の脈絡もありません…)。目をこすりこすりPC画面を覗きながら書く次回の内容は,「漸化式」を予定しています。お楽しみに♪
宇都宮北高校,東北大学理学部数学科卒。
2006年度から代々木ゼミナールの講師となり,現在は新宿本部校と札幌校に出講しています。対面・映像の授業の他にも,テキスト・模試・解答速報の作成なども行っています。
もっと毒をはいている大山を見たい方は,X(旧Twitter)をどうぞ!→ @dan_oyama_0206
《著書》
・『全国大学入試問題正解』(旺文社)解答執筆(京大,一橋大,東北大など)
・『整数 分野別標準問題精講』(旺文社)
・『全レベル問題集③』(旺文社)
・『全レベル問題集⑤』(旺文社)
・『大山壇の基本から身につける計算力IA』(KADOKAWA)
・『大山壇の基本から身につける計算力IIB』(KADOKAWA)
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