以前の連載記事『大山壇の入試問題Pick Up !』とテーマが重複することもあるかもしれませんが,主に高校生・大学受験生に向けた内容にしていきます。生徒のみなさんにとっての演習に,先生方にとっては日々の指導の参考に,少しでも役立てば幸いです。
今回は『数列』の漸化式の解き方を確認します。
漸化式は解けない(一般項を求められない)ことも多いのですが,まずは解けるパターンをある程度把握しておくことが大切です。そして,漸化式は漸化式単独の問題だけでなく, 他の分野との融合問題(確率漸化式など)として出題されることも多いので,まずは基本をしっかり練習しておきましょう!
5.1 基本漸化式
ひとことで言えば,漸化式とは数列の規則性を表す関係式のことです。
その中でも次の4パターンは,すぐに一般項を求められる基本の形となります。
2. 等比型 \(\boldsymbol{a_{n+1} = r a_n}\)
3. 階差型 \(\boldsymbol{a_{n+1} = a_n + A_n}\)
4. 階比型 \(\boldsymbol{a_{n+1} = A_n a_n}\)
(例1) \(a_1 = 1, a_{n+1} = a_n + 3 (n = 1, 2, 3, \dots)\) で定められる数列 \(\{a_n\}\) は
\(\begin{aligned} & a_2 = a_1 + 3 = 1 + 3 = 4 \\[5pt]
& a_3 = a_2 + 3 = 4 + 3 = 7 \\[5pt]
& a_4 = a_3 + 3 = 7 + 3 = 10 \end{aligned}\)
…
という感じで,前の項に3を足すと次の項になるという規則で並んでいます。
つまり,数列 \(\{a_n\}\) は公差3の等差数列なので,一般項は
\(a_n = 1 + 3(n – 1) = \boldsymbol{3n – 2}\)
と表せます。
(例2) \(a_1 = 3, a_{n+1} = 2a_n (n = 1, 2, 3, \dots)\) で定められる数列 \(\{a_n\}\) は次のように並んでいます。
つまり,数列 \(\{a_n\}\) は公比2の等比数列なので,一般項は
\(a_n = \boldsymbol{3 \cdot 2^{n-1}}\)
と表せます。
(例3) \(a_1 = 1, a_{n+1} = a_n + 2^n (n = 1, 2, 3, \dots)\) で定められる数列 \(\{a_n\}\) は次のように並んでいます。
つまり,数列 \(\{a_n\}\) の階差数列が \(\{2^n\}\) なので,一般項は
と求められます。
(例4) \(a_1 = 2, a_{n+1} = na_n (n = 1, 2, 3, \dots)\) で定められる数列 \(\{a_n\}\) は次のように並んでいます。
つまり,数列 \(\{a_n\}\) の階比数列(この言葉は教科書には載ってませんが…)が \(\{n\}\) なので,一般項は
と求められます。
5.2 カタマリで見る
したがって,漸化式が与えられて一般項を求めたいときには,上記の 4 パターンに帰着させられれば嬉しいわけです。
例えば,\(a_1 = 1, a_{n+1} = 3a_n + 4 (n = 1, 2, 3, \dots)\) で定められる数列 \(\{a_n\}\) は次のように並んでいます。
唐突ですが,この各項に 2 を足して,数列 \(\{a_n+2\}\) を作ってみると
という,公比 3 の等比数列になっています。実際,もとの漸化式は
\(a_{n+1} = 3a_n + 4 \iff a_{n+1} + 2 = 3(a_n + 2)\)
と変形でき,\(\{a_n + 2\}\) というカタマリの数列が等比数列になっていることが確認できます。
したがって,このカタマリ数列の一般項は
\(a_n + 2 = (a_1 + 2) \cdot 3^{n-1} = 3^n\)
とできるので,求めたい一般項は
\(a_n = 3^n – 2\)
となります。
このように,\(\color{#ff0000}\boldsymbol{a_{n+1} = pa_n + q}\) のタイプの漸化式で定められる数列は,ちょっとズラすとカタマリの等比数列になるのです。つまり
\(\color{#0693e3}\boldsymbol{a_{n+1} = pa_n + q \iff a_{n+1} – \alpha = p(a_n – \alpha)}\)
となる定数 \(\alpha\) を見つければ,一般項 \(a_n\) を求められるということです。
より一般的に言えば,\(\color{#ff0000}\boldsymbol{a_{n+1} = pa_n + f(n)}\) のタイプの漸化式で定められる数列は
\(\color{#0693e3}\boldsymbol{a_{n+1} + g(n + 1) = p\{a_n + g(n)\}}\)
という形に変形できれば,カタマリ等比数列になるということです。
あくまでもただの式変形なので,\(f(n)\) と全然関係ないような形の \(g(n)\) が必要なわけではなく,\(f(n)\) の部分が定数なら \(g(n)\) も定数だし,\(f(n)\) の部分が1次式なら \(g(n)\) も1次式です。具体的に練習してみましょう。
\(g(n)\) をどのように設定すればウマくいくかを考えましょう!(解答例はこちら)
5.3 階差型への帰着
漸化式 \(a_{n+1} = pa_n + f(n)\) において,ウマく \(g(n)\) を見つけられないときには,両辺を \(\color{#0693e3}\boldsymbol{p^{n+1}}\) で割るのが有効です。つまり
\(\color{#0693e3}\boldsymbol{a_{n+1} = pa_n + f(n) \iff \cfrac{a_{n+1}}{p^{n+1}} = \cfrac{a_n}{p^n} + \cfrac{f(n)}{p^{n+1}}}\)
と変形します。するとこれは,数列 \(\left\{ \cfrac{a_n}{p^n} \right\}\) の階差数列が \(\left\{ \cfrac{f(n)}{p^{n+1}} \right\}\) になっていることを表すので,あとは \(\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1} \cfrac{f(k)}{p^{k+1}}\) を計算できれば一般項を求められるということになります。(まぁ,この和の計算がメンドウなことが多いので,できれば避けたい方法ですが…)
これを誘導しているのが次の問題です。
誘導を無視して,カタマリ等比数列をねらうこともできるので,ぜひそちらもチャレンジしてみてください!(解答例はこちら)
そして,もう少し複雑な問題が次です。
誘導にウマく乗りましょう!(解答例はこちら)
5.4 隣接3項間漸化式
\(\boldsymbol{a_{n+2} = pa_{n+1} + qa_n}\) のタイプの隣接3項間漸化式も
\(\color{#0693e3}\boldsymbol{a_{n+2} – \alpha a_{n+1} = \beta (a_{n+1} – \alpha a_n)}\)
という,カタマリ等比数列をねらうのが基本ですが,次の問題は少しだけ応用が必要です。
本当は (1) と (2) の間に誘導が付いていたのですが,あえて外してみました。どう設定すればウマくカタマリ等比数列に持ち込めるのか,自分で考えてみましょう!
ウマくできましたか?(解答例はこちら)
第5回は以上です。
理由も分からずに特性方程式を使うのではなく,目標の形(カタマリ等比数列など)にどう近づけるかという練習でした。
さて,次回は「指数・対数」をとりあげてみようと思っています。お楽しみに♪
宇都宮北高校,東北大学理学部数学科卒。
2006年度から代々木ゼミナールの講師となり,現在は新宿本部校と札幌校に出講しています。対面・映像の授業の他にも,テキスト・模試・解答速報の作成なども行っています。
もっと毒をはいている大山を見たい方は,X(旧Twitter)をどうぞ!→ @dan_oyama_0206
《著書》
・『全国大学入試問題正解』(旺文社)解答執筆(京大,一橋大,東北大など)
・『整数 分野別標準問題精講』(旺文社)
・『全レベル問題集③』(旺文社)
・『全レベル問題集⑤』(旺文社)
・『大山壇の基本から身につける計算力IA』(KADOKAWA)
・『大山壇の基本から身につける計算力IIB』(KADOKAWA)
その他のコンテンツ











