全体の傾向
2026年の大学入試における「統計的な推測」の出題は,2025年よりも増加しました。(2025年の記事はこちら)
同章の統計分野について,主な出題をまとめたのが次の表です。
※印が付いているのは選択形式の出題です。全体としては,必答を求める大学が昨年より増えました。学部では,医・薬・看護,データサイエンス系に加え,経済や教育での出題が見られました。
以下,特徴的な出題をいくつか挙げます。
基本的な確率分布の理解
(1)は標本平均の分布において,(2)は二項分布の正規分布近似において,平均や分散を求めます。それぞれは基本的な問題ですが,小問として並べている点に,分布の違いがきちんと理解できているかを問う意図が感じられます。
この2つは,多くの教科書において節をまたいで掲載されています。準拠問題集では解けても,このように一緒に問われると混乱してしまう…ということが無いよう,しっかり習熟したいです。
信頼度97%&有意水準3%
ほとんどの教科書や参考書には,信頼度95%(99%)と有意水準5%(1%)に関する式しか掲載されていません。よって,信頼区間の公式や棄却域の区間の暗記だけでは太刀打ちできない問題です。
解くには,
① 信頼区間や棄却域などの式の意味(確率分布との対応)を理解し,
② 正規分布表を用いて97%(3%)に対応する係数を求める
ことが必要です。
①も大変ですが,②も苦手とする生徒が多いことが,共通テストの分析から予想されています。(該当記事はこちら)
受験指導では今一度,正規分布表を用いた公式の導出をおさらいしておく必要があるかもしれません。
数学Ⅰ・Aでの出題
一見すると「統計的な推測」の問題に見えますが,最初の2行にある「10回出る確率」「10回以上出る確率」は自力で計算する想定で,数学Ⅰ・Aの範囲です。「統計的な推測」を履修している生徒は,二項分布の正規分布近似を用いてしまい,逆に混乱するかもしれません。
数学Ⅰ「データの分析」では,数学A「場合の数と確率」を前提とできないため,教科書ではコイン投げの結果の表などを与えて解きます。しかし,入試ではこのように出題される可能性があるため注意が必要です。
東京書籍の教科書『改訂版 数学Ⅰ Advanced』および参考書『改訂版 NEW ACTION LEGEND数学Ⅰ+A』では,本件を参考で取り上げているので,ぜひご参照ください。
上記を含めて,教科書の内容から大きく外れた出題は,今年も見られませんでした。むしろ,“基本的な内容をしっかり理解できているか”を問う方向性が見受けられます。
出題校が増加した点も踏まえ,以降も入試の動向を注視して,情報発信して参ります。
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