武田神社
はるとです。ますりんと、しほさんと、山梨県甲府市にやってきました。ここは武田神社。戦国時代の武将、武田信玄公をおまつりした神社なんだって。
田んぼの「田」をななめにしたようなマークが、いろいろな場所にあるね。ほら、ここにも。そこにも。


武田氏の家紋、「武田菱」だよ。菱というのは、ひし形のこと。ひし形を使った家紋やマークにはいろいろなバリエーションがあって、市内でたくさん見ることができるんだ。
ひし形は、4つの辺の長さが等しい四角形だよね。どうして「ひし形」っていうんだろう。「ひし」ってなに?
ずばり「ヒシ」という水草があってね。葉っぱと実の形が、ひし形なんだ。実はゆでて食べられる。ホクホクおいしいよ。
ひし形そのものは、縄文土器にも描かれているほど、大昔から使われている文様だよ。後になってから、この名前で呼ばれるようになったんだね。


(ヒシの葉とヒシの実)
実のとんがりが、するどいな。忍者が逃げるとき地面にまく「マキビシ」って、こんな形じゃなかったっけ?
はるとさん、よく気づいたね! もともとは、このヒシの実をまいていたんだ。追っ手がトゲを踏んで気をとられているうちに、さっさと逃げちゃう。
踏んだら痛そう! それでますりん、さっき言ってた、ひし形の家紋にはどんなバリエーションがあるの?
そうそう、シンプルなものから順に見ていこうか。ひし形1つのものは、「菱持(あるいは菱餅)」。4つ並んだものが、さっき見た「武田菱」。9つ並ぶと「九つ菱」。



それぞれ、\(1×1=1\) 個、\(2×2=4\) 個、\(3×3=9\) 個 のひし形がくっついてる! 並べてみて、気づいたよ。もしかして、\(4×4=16\) 個 のひし形をくっつけた家紋もあったりして……?
うふふふふ、それも、ちゃんとあるんだ。名前は「業平菱」。16個のひし形を並べただけじゃなく、優雅なデザインも入っているね。平安時代の歌人、在原業平が好んだ柄が元になった家紋だよ。

うーん。繊細で、本当にきれい。ひし形って、長い歴史の中でずっと愛されてきた形だったんだね。甲府の人が特にひし形が大好きなことも、よくわかったよ。
じゃあ次は、すぐそこの「信玄ミュージアム」に行ってみようか。ひし形が大、大、大好きな人が作った、面白い部屋があるんだ。「旧堀田古城園」といって、昔は料亭として使われていた建物の茶室なんだけどね……。


えええっ? 部屋全体がひし形? 真ん中の畳もひし形?
「武田菱」にこだわって、こんな部屋を作ろうと思いついた堀田さんもすごいし、完成させた大工さんの技術もすごいよね。
*武田神社/山梨県甲府市。甲斐の名将・武田信玄公を祀った神社。1919年(大正8年)に、武田信虎公・信玄公・勝頼公の甲斐武田氏三代が居館とした「躑躅ヶ崎館(つつじがさきやかた)」跡に創建され、1938年(昭和13年)には国の史跡に指定される。
*信玄ミュージアム/山梨県甲府市。国史跡武田氏館跡に関わる歴史や史跡の見どころを紹介するガイダンス施設として、2019年に開館。
*写真撮影・イラスト作成:大野寛武
*写真提供:甲府市教育委員会
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