ますりんと、静岡駅にやってきました。ずいぶん、にぎやかな電話を見つけたよ。これ、なんの形だったっけ。
うふふふ、しほさん、プラモデルは知ってるかな? ひとつひとつのパーツを組み合わせて完成させる、模型だよ。静岡市は「プラモデルのまち」なんだ。
そうか、プラモデル! おじさんが作っているのを見たことがあったよ。切り離した部分を、ていねいに磨いてた。でも「プラモデルのまち」って、どういうこと?
全国のプラモデルの約8割は、静岡市の模型メーカーが作っているんだ。そこで、市が世界に誇る産業としてさまざまにアピールしているんだよ。街にいくつもある「プラモニュメント」も、その一つ。さっきの電話は実際に公衆電話として使われているし、こっちのポストも本物で、手紙を投函することができるよ。
へええぇ。どれもかわいい。でも、実際のプラモデルのパーツは、箱に入るくらいの大きさなんだよね。本物のプラモデルも、いろいろ見てみたいな。
それじゃあ、さっそく静岡駅前にある模型ミュージアム、「静岡ホビースクエア」に行ってみよう!
うわぁ、船や飛行機に、お城まで。なんでも小さくしちゃうんだ。楽しいね。こっちのコーナーは、車だね。本物とくらべて、どれくらいの大きさなのかな。あっ、もしかして箱に書いてあるかも?
しほさん、目のつけどころが、すばらしいよ。じっくり、よーく見てみて!
見つけたよ! 「1/24」っていう、この数字じゃない?
さすがしほさん。
「1/24スケール」、つまり、本物の車の \(\dfrac{1}{24}\) の大きさだね。
やったぁ。でも、ずいぶん中途半端な数字。\(\dfrac{1}{10}\) や \(\dfrac{1}{20}\) にすれば、計算しやすいのに。
うふふふ。ぼくらにとっては、確かにそうだね。実はこの数字、プラモデルの歴史に関係しているんだよ。世界で初めてのプラモデルは、1936年にイギリスで作られた1/72スケールの飛行機だったんだ。1950年代には、イギリスだけでなくアメリカでも大流行。このときの主流は、1/48スケールだったんだって。どうして、こんな数字になったんだと思う? ヒントは「長さの単位」、そして「12」という数だよ。「ヤード」「フィート」「インチ」という言葉は知ってるかな。
「ヤード」は、スポーツ中継で聞いたことがある気がする。ゴルフかな?「インチ」は「センチ」に似てるけど、違うんだよね。
うんうん。よく知ってるね! 1ヤードは約90cm、1フィートは約30cm、1インチは約2.5cm。身体の大きさや歩幅を基準にした、長さの単位なんだ。イギリスやアメリカでは、この単位がよく使われているんだよ。表にまとめると、わかりやすいね。
あっ。1フィートが、12インチ。さっきのヒント、「12」だね。つまり、「フィート」で測った車の数値を使ってそのまま「インチ」で模型を作れば、ちょうど \(\dfrac{1}{12}\) になるってことだ!
そうなんだ。さすが、しほさん。大きなものの縮尺を考えるとき、「メートル」に慣れたぼくたちにとっては、\(\dfrac{1}{10}\) や \(\dfrac{1}{100}\) が便利なんだよね。一方「フィート」や「インチ」に慣れた人にとっては、\(\dfrac{1}{12}\) で考えるのがわかりやすいってこと。
なるほど〜。そうやって縮小したのに、また実物大に戻したのが、さっきの「プラモニュメント」だったんだね。もっといろいろ、見てみたくなっちゃった。よーし、次は街のプラモデルを見に出発だ!
*プラモニュメント/静岡県静岡市。地域創生プロジェクト「静岡市プラモデル化計画」では、街にあるさまざまなものを「組み立て前」のパーツに分解したモニュメントを次々に配置中。「ホビーのまち静岡」をアピールしている。
〒420-0851 静岡県静岡市葵区黒金町
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