今日はひろとさんと、群馬県桐生市にある、「群馬県立ぐんま昆虫の森」に来ています。昆虫をテーマにした、体験型の施設だよ。
きれいな形のガラスドームが見えるね。
あれは、昆虫観察館。チョウのいる、温室もある。建築家の安藤忠雄さんの設計なんだ。他にも雑木林や田畑、小川と、いろいろな里山の様子が再現されていて、敷地全体がすごく広いんだよ。さて、どこから行こうか?
うーん。それより、ドームのガラスは全部が三角形だよ。すごい数だ。いったい、何枚くらいあるのかな?
おおっと。ひろとさんが興味を持つのは、まずそっちなんだね?!
地図アプリで、上空からの写真が探せるんじゃないかな。よし、あった。これで数えていけるよ。1段目の三角形は1個、2段目は3個、3段目は5個。規則性がありそうだな……。
*出典:国土地理院webサイト(東京書籍で画像をトリミング)
いやはや、どんどん進めていくね。すごいなぁ。いいぞいいぞ!
こういうときには、表にまとめるとわかりやすそうだね。
全部が奇数だな。2個ずつ増えていく。
1段目の三角形は1個で、1段増えるごとに2個ずつ増えていくわけだから…… \(n\) 段目の三角形の個数は
\(1+2(n−1)=2n-1\)
になるよ。
やるね! ところで、「2個ずつ増えていく」のは確かなの?
もちろん、理由も言えなくちゃね。たとえば、2段目と3段目を見てみるよ。2段目は、三角形が3個くっついた台形だ。下の図の、黄色い部分だね。同じ台形は3段目にもあって、増えたのは青い部分の2個。4段目から先も、青い部分、つまり三角形2個が同じように増えていく……。
すごい! バッチリ納得したよ。説明がうまいな、ひろとさん。
えへへ。じゃあ、いよいよ、この建物の屋根のガラスの枚数を考えていこうかな。さっきの写真で数えると、この屋根は 1段目から2個ずつ三角形を増やしながら、全部で18段でできているよ。最後の段の三角形の数は
\(18 \times 2-1=35\)
なので、35個だね。
\(1+3+5+\cdots+35\) をコツコツ計算すれば答えは出るけど……これも表にすれば、何か手がかりがつかめそうなんだよね。
あれ? もしかして、みんな2乗の数になっているのかな?
本当かな。もしそうなら、\(n\) 段目までの合計は \(n^2\) になるけど。
すごいことに気づいちゃったね。実は、1から順に奇数を足していくと、その和は必ず2乗の数になるんだ。でもこれ、どうしてだと思う?
ええと、ちょっと待ってね……何かを思い出しそう……数学者のガウスが、小学生だった頃の話だ……1から100まで足し算をするときの、やり方だったっけ。そうだ。1から100まで足したものと、逆向きに100から1まで足したものを、合計する方法だ。ルーロー、これ使えるよね!
まず、1から \(n\) 段目までの合計は
これに、逆向きの
をたすと……あっ、項が全部 \(2n\) になった。 \(2n\) が \(n\) 個あるから \(2n \times n=2n^2\)
同じものを2つたしているわけだから2でわって、\(n^2\) になる。
つまり、昆虫観察館の屋根に使われているガラスの数は
\(18^2=324\) 枚だ!
いやあ、すっきりした。文字式は偉大だね、ルーロー。じゃあいよいよ、ガラス天井を中から眺めに、昆虫観察館に出発だ〜。
*群馬県立ぐんま昆虫の森/群馬県桐生市。2005年オープン。45haの広大な敷地に、雑木林や里山を再現。虫取り体験や里山歩きのほか、かやぶき民家での昔遊び体験などもできる。
〒376-0132 群馬県桐生市新里町鶴ヶ谷
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