今週の算数・数学フォト

2023.04.24

ずらりと干されたダイコン

大根やぐら

あみです。ここは宮崎市の、田野町というところ。見渡すかぎりの広々とした畑……だと思ったら、畑の中にいきなり、巨大な三角形の建物が建っていました。中身にも、びっくり。見上げても見上げても、ずらりとダイコンです。

【今週の算数・数学フォト】ずらりと干されたダイコン02

「大根やぐら」というんだよ。この辺りの畑でたくさんとれるダイコンを干して、たくあんの材料になる「干し大根」を作っているんだ。

たくあん!細くてひょろ長いのが、スーパーにもあるよね。あれが丸ごとのダイコンだって、聞いてもピンと来なくて。こんなに細くなるわけがないでしょ?って思ってたんだ。本当に、丸ごとなんだね。こうやって干されていたのか〜。

ふふふ。現場を見ちゃったね。この大根やぐらは、幅が6m、高さが6m、長さは50mくらい。これが標準サイズで、この地域では冬に300基も作られるんだって。こんなに大きな「大根やぐら」でダイコンを干すのは、全国でもここだけ。干し大根の生産量は、宮崎県が日本一なんだよ。こうした取組は、「日本農業遺産」にも認定されているんだ。

でも、冬だけ?他の季節は、どうしているんだろう。

ダイコンは冬の野菜だからね。2月に最後のダイコンを干し終わったら、こんなに大きなやぐらも、すぐバラバラに解体してしまうんだ。冬にダイコンを育てた畑で、夏はサツマイモや葉タバコを育てるんだよ。

あっ、それ知ってるよ。「二毛作」だ。

あみさん、さすがだね。その通り。この地域は、畑作がとっても盛んなんだ。温暖で、雨が多くて、日照時間も長い。火山灰の土は、栄養豊かで水はけもいい。

立派なダイコンが、どんどん育つんだね。それにしても、あの大きな大根やぐらには、一度に何本くらいのダイコンが干せるのかな?

なるほど、本数か!そうだね、やぐらの中を歩きながら数えてみてもいいけど……せっかくだから、今回は町全体のダイコンの生産量から計算してみようか。最初のヒントは、3つだよ。
①この大根やぐらには、30a(アール)の畑から収穫したダイコンを干すことができる。
②田野町のダイコンの作付面積は、731ha(ヘクタール)。
③田野町のダイコンの収穫量は、39100t(トン)。

よーし、やってみる。まずは、30aの畑でどれだけのダイコンが収穫できるか知りたいね。②と③から、1haあたりの収穫量は
\(39100 \div 731=53.48…\)
およそ53.5t、つまり、53500kgだね。1haは100aだから、1aあたりの収穫量は \(53500 \div 100=535\) で、535kgとなるよ。
①によれば、やぐら1基で30a分のダイコンが干せるわけだから、30倍して \(535 \times 30=16050\) で、16050kgだ!
あとは…ダイコン1本の重さがわかれば本数が求められるよ!ますりん知ってる?

さすが、よく気づいたね!それでは、最後のヒント。
④たくあん漬け用のダイコンは、およそ1.0〜1.5kg。

じゃあ平均で、1本1.25kgとするよ。
\(16050 \div 1.25=12840\) で、12840本
うわぁ、1万本以上のたくあんの材料が、今そこにぶら下がっているんだ。いったい何人分の、何年分? さらにすごい計算が必要になっちゃいそう……。

*大根やぐら/宮崎県宮崎市田野町

〒889-1701 宮崎県宮崎市田野町甲

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