今週の算数・数学フォト

大谷資料館

栃木県の「大谷資料館」にやってきました。わっ。建物に入るとすぐ、下に降りる階段があるんだね。階段の奥は暗いし、ひんやりしてる。なんだか怖いな。ますりん、ここは何なの?

【今週の算数・数学フォト】大谷石の大きさは?02

はるとさん、大谷石(おおやいし)という石は、知ってるかな? ここは、1919年から約70年にわたって大谷石を採り出していた場所の跡地なんだ。火山灰や軽石でできた石だから軽くて加工しやすくて、しかも吸湿性や吸音性にも優れた、素晴らしい建築材料として広く使われてきたんだよ。地下の採石場だから、年平均気温は8℃だって! 寒いよね。

【今週の算数・数学フォト】大谷石の大きさは?03

中はずいぶん広いんだね。奥の方にも、まだトンネルが続いてる。

広さは縦が140m、横が150mほどで、野球場がすっぽり入ってしまうくらいの大きさだよ。まるで地下神殿だね。今ではロケ地としてたくさんの映画やドラマに登場しているし、コンサートや演劇、美術展の会場としても使われているんだよ。

こんなに広い空間ができるくらい、たくさんの石を掘り出したんだよね。それも、100年以上も昔から。いったい、どのように掘り出したんだろう?

最初の頃は機械がなくて、全部が手作業だったんだ。つるはしを使って掘り出したものを、人が背負って運び出す。掘り出す時のサイズは「五十石(ごとう)」と呼ばれる大きさで、縦が5寸、横が10寸、長さは3尺だって。どのくらいの大きさか、わかる? ちなみに1尺は約30cmで、これが10寸になるよ。

なるほど。1寸は約3cmだね。つまり、縦が約15cm、横が約30cm、長さは約90cmということか。
えっ。そんな大きさの石を、人が背負って運んだの?いくらなんでも無理じゃない? どのくらいの重さなんだろう。

大谷石は、軽石でできているから、普通の石に比べれば軽めだよ。1cm\(^3\)で約1.4g。別の言い方でいうと、密度が約1.4g/cm\(^3\)だ。

なるほど。重さは(体積)×(密度)で求められるから、まずは体積を求めないとだね。体積は \(15 \times 30 \times 90=40500\) だから、約40500cm\(^3\)だ。
・・・ということは、\(40500 \times 1.4=56700\) で約56700g、つまり、およそ56.7kgということだ。大人の人を、おんぶするような感じかな。確かに無理ではないけど、ものすごく大変な仕事だね。

資料によれば、実際の重さは約70kgだったらしいよ。大谷石は吸湿性に優れているから、地下水を含んだりして重たくなるんだね。これを外に運び出すと、今度は馬に乗せて運ぶんだ。1頭の馬の背中に、70kgの五十石を2つ。昔は、人も馬も大変だったんだね。

*大谷資料館/栃木県宇都宮市。大谷の地質、石の採掘方法や輸送方法などが、さまざまな資料とともに展示されている。

*写真提供:大谷資料館

〒321-0345 栃木県宇都宮市大谷町

その他のコンテンツ