今週の算数・数学フォト

2022.08.08

日時計は、知恵の宝庫

首里城公園

ひろとさんと、沖縄の「首里城公園」に来ています。3年前の火災で、正殿はじめ9つの施設が燃えてしまったのは、本当にショックだったね。今も復元に向けた取り組みが続いていて、正殿は2026年の完成を目指しているんだって。今日はここで、ちょっとおもしろいものを見てみようと思うんだ。

【今週の算数・数学フォト】日時計は、知恵の宝庫02

なんだろう。コマみたいな形だな。ぐるりと文字が書いてあって、真ん中には、まっすぐな細い針。ルーロー、これ、もしかして日時計かな?

正解。さすがだね。今くぐってきた赤い門は「漏刻門(ろうこくもん)」というんだけど、「漏刻」というのは水時計のことなんだ。1739~1879年頃には、ここで水を流して、たまった量で時刻を調べては太鼓で知らせていたんだって。日時計は、目安として補助的に使われていたらしい。これはその頃に使われていた実物ではなくて、あとから復元されたものだよ。

なるほど。古びてみえるけど、文字は読めるね。何が書いてあるのかな。子、丑、寅……干支かな?

そうそう。干支といえば、今は年賀状でおなじみだね。「寅年」「卯年」と、12年ごとに巡る年の名前でよく耳にするけど、昔は1日の時刻も干支で呼んでいたんだ。たとえば、真夜中の23時から午前1時までが「子の刻(ねのこく)」。午前1時から3時までは、「丑の刻(うしのこく)」。

あ! お昼の12時を「正午」、その前を「午前」、後を「午後」というのは、7番目の干支の「午(うま)」から来ているのか。

日時計は、真ん中の細い棒の影が時刻を示すんだね。太陽は東のほうからのぼって、昼頃には南へ。そして夕方に西のほうに沈むから、影はこんな動き。

【今週の算数・数学フォト】日時計は、知恵の宝庫03
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なるほど、これが「時計回り」か。この文字盤だけで、ずいぶんいろいろなことがわかるな。あれ? こっちにも何かの説明が書いてある。 「日本標準時に対して、約30分遅れています」。ええと、これはどういうことかな……?

日本の標準時は、東経135°に太陽が南中する時刻、すなわち東経135°の場所が正午を迎えるときが基準だったよね。ところが、ここ首里城は東経127.7°。これがヒントだよ。

そうそう、社会科で考えたことがあったよ。東経135°の子午線といえば、兵庫県の明石市を通っているはず。ここは兵庫県よりずいぶん西だから、その分遅れるわけだ。どのくらい遅れるかというと……ここと明石市の経度の差は、\(135-127.7=7.3\) で、7.3°だね。
地球は24時間で360°回るから、1時間の時差は、\(360 \div 24=15\) で、15°ごとに生まれるわけだ。
だから、7.3°で生まれる時差は、\(7.3 \div 15=0.49\)…で、約0.5時間。だから「約30分遅れています」、となるんだね!

*関連教科書紙面「新しい地理 p.23」

*首里城公園/沖縄県那覇市。15世紀から19世紀後半まで続いた琉球王国の中心として栄えた首里城を、復元・展示している公園。2000年には、首里城跡が世界遺産に登録された。

〒903-0815 沖縄県那覇市首里金城町

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