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中学校
2023.11.14
【ICT教育のイマ】クロームブック活用術 実践㉞~デジタル教科書/操作編(3年 円③)~
相模原市立相武台中学校
加藤光顕先生
今回は、3年円の円周角の定理の学習で活用したデジタル教科書の有効な方法をご紹介します。
①シミュレーションで角度の変化を確かめる
□単元:6章 円 □内容:p.174~p.175 円周角の定理の逆 □学年:中学3年
教科書p.174は、円周角の定理の逆を学びます。Qでは、前回学習した円周角の定理をもとに、点Pを動かすことで、\(\angle\)ACBと\(\angle\)APBの関係を比べていきます。教科書では図で説明されたり、式が掲載されていますが、デジタル教科書ではシミュレーションを用いて、実際に点を動かして比較することができます。角度の値も提示されるので、点Pを円Oの周上、円Oの内部、円Oの外部に動かしたときに角度の大きさがどう変化するのか、容易に確かめることができます。それにより、多くの生徒がより明確なイメージをもちながら理解することができます。
また、点P以外にも点A、B、Cも自由に動かすことができるので、円周角と弧や、円周角と中心角の関係など、円周角の定理を復習するうえで役立ちます。このような過程を入れることで、「4つの点が円周上にある条件とは何か」について、生徒が主体的に考えるための足がかりができます。
②シミュレーションを通して、4つの点の関係を意識させる
上述①を踏まえて、今度は点が円周上にある条件を予想させます。するとすぐに、「円周角が同じになる」と多くの生徒が答えます。しかし、これだけでは条件として不十分なので、「円周角が同じになるとはどういうこと?」と投げかけますが、ほとんどの生徒は答えられなくなってしまいます。そこで4つの点A、B、P、Qの関係に注目するようにアドバイスします。このとき、p.175のシミュレーションを利用すると、簡単に角度が同じになる2つの角をつくることができるので、その図を用いて4つの点の関係を考えさせます。そして、生徒から「点は4つとも円周上にありそうだ」と予想させた後で、シミュレーション上の円の表示にチェックを入れ、円周上にあることを確かめます。こうすることで、生徒は点AとBがつくる弧の長さにも着目でき、教科書のまとめにある「P、Qが直線ABの同じ側にあって」という条件に納得できるのです。
③まとめ
今回取り上げた内容は、従来の教科書を用いた授業では、読み上げたり、簡単に説明したりする程度で、生徒にはすぐに問題に取り組ませていたのではないでしょうか。しかし、シミュレーションが利用できるようになったことで、容易に点を円の内部や外部に動かし、角度の変化のようすを比較できるようになりました。このような、ほんの少しの確認や活動過程が、図形感覚の向上や発展課題への足がかりにつながるのではないかと、私は考えています。
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