今日の授業のひと工夫(小中学校)
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- 【3年8章】母集団から標本を取り出す方法について考…
3年8章p.213Qでは、母集団から標本を取り出す方法について考えます。これまでに、身のまわりで行われている調査には全数調査と標本調査があることを知り、標本調査の必要性と意味を理解してきました。ここでは、標本調査の標本は無作為に抽出する必要があることを学びます。
p.213Qでは、まず母集団と標本を明確にすることで、どのような標本を取り出せばよいかを考えます。例えば、全校生徒が母集団であるのに、3年生だけで調査しては、標本としてかたよりが出てしまいますよね。そこで、意図的に抽出するのではなく、偶然にゆだねて抽出した方が、かたよりが少なくなる可能性があることに気づくようにしたいですね。
また、❷では、データをある性質にもとづいて分類、分割する「層別」のアイデアも生徒から出てくるかもしれませんね。例えば、学年で分けることがこれに相当します。生徒の実態に応じてこれらを取り上げ、実社会では「層別」を駆使しながら標本調査を行っていることにも触れるとよいですね。
さて、標本調査には思いがけない落とし穴が潜んでいるという次のような有名な話題があるので、ご紹介します。
1936年のアメリカ大統領選挙には、共和党からはランドンが、民主党からはルーズベルトが立候補し、「リテラリーダイジェスト」は、237万6523通の回答の結果からランドンの勝利を予想しました。一方、世論調査会社の「ジョージ・ギャラップ社」は、5万人程度(※1500人程度から5万人程度まで、諸説ある。)の有権者に対して調査を行い、ルーズベルトの勝利を予想しました。
当時は、調査規模があまりにもちがうため、どちらの予測が正しいのか、勝負にならないと思われていましたが、選挙の結果はルーズベルトの圧勝でした。このことが原因で、「リテラリーダイジェスト」は廃刊に追いこまれました。
「ジョージ・ギャラップ社」は、「割当法」という無作為抽出に近い方法を用いていたため、高い精度で予測ができました。割当法とは、性別、年齢などを考慮して、全国の縮図になるようにサンプルを抽出する方法です。一方、「リテラリーダイジェスト」が調査したサンプルは、電話帳、クラブ会員の名簿、自社の購読リストをもとに抽出していました。大規模な調査ではありましたが、実は、無作為抽出にはほど遠いかたよった抽出だったのです。
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