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高校
2026.05.14
【改訂版教科書】
思考の戦略編で捉える2026年入試問題(Advancedシリーズ)
改訂版Advancedの巻末「思考の戦略編」では,初見の問題でも解決の糸口を見つけられるような,分野を越えて共通する思考法を取り上げています。昨年,この思考法をもとに大学入試問題を分析した記事を公開したところ,「教科書で学んだ考え方が入試に直結していることを生徒に伝えられていいですね!」と多くの先生から嬉しい反響をいただきました。
そこで今年も,2026 年に出題された最新の入試問題を分析しました!差がついたと思われる問題に,「思考の戦略編」で取り上げている思考法がどう活用できるのか,徹底解説いたします。
九州大学(文系)大問3
(1) \(\sqrt{2}\) が無理数であることを示せ。
(2) \(n\) を自然数とする。\((\sqrt{2} + 1)^n+ (\sqrt{2} – 1)^n\) が整数となるための,\(n\) がみたすべき必要十分条件を求めよ。
(1)は有名な問題で,教科書の本文でももちろん扱っています。
(2)は,一見すると何をすればよいか分からず,戸惑った受験生も多かったかもしれません。そのようなときは,\(n\) が小さい場合を“具体的に考える”ことで見通しを立てることができます。
\(n = 1\) のとき
\((\sqrt{2} + 1) + (\sqrt{2} – 1) = 2\sqrt{2}\)
→ 整数ではない
\(n = 2\) のとき
\((\sqrt{2} + 1)^2 + (\sqrt{2} – 1)^2 = (2 + 2\sqrt{2} + 1) + (2 – 2\sqrt{2} + 1) = 6\)
→ 整数である
\(n = 3\) のとき
\((\sqrt{2} + 1)^3 + (\sqrt{2} – 1)^3\)
\(= (2\sqrt{2} + 6 + 3\sqrt{2} + 1) + (2\sqrt{2} – 6 + 3\sqrt{2} – 1) = 10\sqrt{2}\)
→ 整数ではない
\(n = 4\) のとき
\((\sqrt{2} + 1)^4 + (\sqrt{2} – 1)^4 = (3 + 2\sqrt{2})^2 + (3 – 2\sqrt{2})^2\)
\(= (9 + 12\sqrt{2} + 8) + (9 – 12\sqrt{2} + 8) = 34\)
→ 整数である
このように計算していくと,「どうやら \(n\) が偶数のときは整数,\(n\) が奇数のときは (整数)×\(\sqrt{2}\) になりそうだ」と推測できます。しかし,いくつかの具体例から得られた推測が,すべての場合において成り立つかどうかは分かりません。
そこで,\(a_n = (\sqrt{2} + 1)^n+ (\sqrt{2} – 1)^n\) とおいて,すべての自然数 \(k\) において
\(n = 2k\) のとき \(a_{2k}\) は整数
\(n = 2k – 1\) のとき \(a_{2k – 1}\) は(整数)×\(\sqrt{2}\)
になることを,数学的帰納法を用いて証明できれば,\(n\) がみたすべき必要十分条件は「\(n\) が偶数である」と論理的に答えることができます。
この \(n\) が小さい場合で“具体的に考える”という考え方は,『数学B Advanced』の「思考の戦略編」で取り上げています。
京都大学(理系/文系)大問2
正四面体において,球面と辺の共有点の存在を考える問題です。
まずは図をかいてイメージしてみると,点 \(\text{P}\) と辺 \(\text{BC}\) 上の点の距離を考える必要がありそうですが,幾何学的に説明するのは難しいかもしれません。
このようなときは,ベクトルを設定したり,座標軸を設定したりすると,求める条件を数式で表現できるので説明がしやすくなります。
問題文に出てきていない別の分野の問題に“設定する”という考え方は,『数学C Advanced』の「思考の戦略編」で取り上げています。
京都大学の問題で,「点 \(\text{P}\) が辺 \(\text{OA}\) 上のどこにあっても」という条件から,点 \(\text{P}\) は辺 \(\text{OA}\) 上を動かして考える必要がありますが,点 \(\text{P}\) が自由に動いていると考えにくいです。
このようなときは,まずは点 \(\text{P}\) をどこかに固定して考えましょう。
点 \(\text{P}\) を固定して辺 \(\text{BC}\) 上の点 \(\text{Q}\) との距離を考えるとき,「点 \(\text{P}\) を中心とする半径 \(r\) の球面が,辺 \(\text{BC}\) と共有点をもたない」状況になるのは
- 点 \(\text{Q}\) が点 \(\text{P}\) からもっとも近い位置にあるとき,その距離より球の半径 \(r\) が小さい
- 点 \(\text{Q}\) が点 \(\text{P}\) からもっとも遠い位置にあるとき,その距離より球の半径\(r\) が大きい
の場合であると考えられます。
次に,点 \(\text{P}\)を動かして,2 点 \(\text{P, Q}\) がもっとも近い位置にあるとき,そしてもっとも遠い位置にあるときをそれぞれ考えることで,\(r\) の範囲を求めることができます。
このような,“一方の変数を固定して,もう一方の変数を動かす”という考え方は,『数学Ⅱ Advanced』の「思考の戦略編」で取り上げています。
教科書の学習を終えた時点で,これらの入試問題の解法がすぐに閃くのは難しいかもしれません。
Advanced の「思考の戦略編」で,“具体的に考える”や“設定する”,“動かす・固定する”といった分野を越えて共通する思考法を意識して教科書の学習を振り返ることで,生徒の皆さんが入試への対応力を自然と身につける一助になれば幸いです。
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