この間,高校数学の参考書として,時代の要請に応じてさまざまに内容を工夫して参りました。今回は,その30年の歴史を振り返ってみたいと思います。
【1995年】“参考書界の革命児”現る

初代『ニューアクション』は,今から30年前の1995年に誕生しました。
“生徒が使いやすい参考書“を求め,高校の先生らの手で編まれた本書は,今では当たり前となった1ページ1例題構成の元祖です。その画期的な見やすさ,使いやすさは,当時の参考書界にアクションブームを巻き起こしました。
極彩色の3Dイラストが描かれた表紙は,Windows95が発売されコンピューターグラフィックスがもてはやされた当時の世相を思い起こさせます。
解法の急所を端的な言葉で示した「ACTION」は,ニューアクションシリーズの根幹を成す要素です。これには,「わからないときはACTIONを頼りに手を動かそう,アクションを起こそう」という意味が込められています。「本当の数学力を身に付けるには,自分で手を動かすこと」という創刊時からのポリシーは,今の時代にこそ強いメッセージを放っています。
【1996年】おなじみの“イルカ”誕生

初代ニューアクションより易しめの参考書が欲しいというご要望に応えて,ミドルクラスの参考書として『ニューアクションβ』を1996年に創刊しました。以降のアクションシリーズの中核を担った参考書であり,表紙のイルカは同書のシンボルとして長く親しまれました。
【1999年】ラインナップの拡充

1999年には,初代ニューアクションの精選版として『ニューアクションα』を,βの精選版として『ニューアクションγ』を創刊。さらに2000年には,初代ニューアクションのリニューアルとして『ニューアクションω』を発行し,4シリーズ体制となりました。
内容面では,1つの例題に対して反復問題の「練習」と応用問題の「問題」を配する構成をα,γで採用し,上記のラインナップとあわせて細やかなレベルの調整が可能になりました。
【2003年】新課程版発行

2003年の学習指導要領改訂にともないニューアクションシリーズも改訂し,ロングセラーの仲間入りをしました。
この改訂では,全シリーズで例題に対して「練習」「問題」を配する構成に統一。さらに,これも今では当たり前ですが,別冊解答編に解答のみでなく問題文も掲載するようなり,より”生徒が使いやすい参考書”に生まれ変わりました。
【2008年】“シリーズごとの工夫”の萌芽

2008年の改訂では,時代を先駆けてニューアクションαに「整数問題」の章を新設しました。当時,学校ごとに行われていた難関大の整数問題対策を,参考書でフォローした形です。
従来,シリーズの違いは“掲載する例題・問題のレベルの違い”でしたが,本改訂でシリーズごとに必要な内容や機能が異なるという視点が生まれ,以降さらに発展していきます。
【2010年】15年目の“新しい試み”

薄物教材が主流であったセンター試験対策に野心的な挑戦。参考書の詳しい解説でしっかり演習・自習できる,初のセンター試験対策参考書『ニューアクションセンター』を刊行し話題を呼びました。
現在,本書で培ったノウハウや良質な問題は,『攻略!共通テストPick Up
』に受け継がれており,ご好評をいただいています。
【2012年】機能の充実と進む差別化

ニューアクションα,βでは,入試問題のような複数の章の内容を組み合わせた融合例題のコーナーを新設。入試対策の機能を強化しました。
また,ニューアクションγの後継として『ニューアクションベーシック』が創刊。数学が得意でない生徒
でもイメージしやすいよう各例題の解法の急所を図解で示し,“普段の学習の伴走者”のような存在を目指しました。
このようにニーズに応じた機能を強化した結果,シリーズ間の差別化が進んだ改訂となりました。
【2015年】高まる網羅性

2010年代は,参考書がどんどん厚くなった時代でもあります。あらゆるパターンの例題を掲載した網羅型参考書が好評を博しました。
2012年改訂のニューアクションβも,取り上げる例題の幅を広げた結果,シリーズで初めて『数学Ⅰ+A』の本体・解答編の合計が1000ページを超えました。参考書の使い方も,「1冊すべてやりきる」から「必要に応じて取捨選択する」使い方が多くなったのかもしれません。
なお,本書では“生徒が持ちたくなる参考書”を目指して,表紙のデザインを刷新しました。本書以前と以降で,雰囲気が大きく異なるのが見てとれます。
【2016年】“思考力”を軸に参考書を再構成

パターンの網羅性が話題になる一方で,初見の問題にも対応できるような根本的な思考力を養うことは,不易の課題でした。参考書としてこの課題に取り組むべく,ニューアクションは大胆な再構成を試みます。
「どうすればその解答が思いつくのか」を図解で可視化した思考のプロセスや,領域を横断して共通する数学的な考え方をまとめた思考の戦略編などの試みで,“いかに数学的な思考力を育むか?”に挑んだ『NEW ACTION LEGEND』は,新時代の参考書として大きな話題を呼びました。
【2021年】デジタル時代の到来

コロナ禍を背景に教育現場では急速なデジタル化が進みました。特に自習する機会の多い参考書ではご要望も多く,2012年の改訂ではデジタルコンテンツや授業動画が標準装備となり,さらに内容が充実しました。
また,NEW ACTION LEGENDのコンセプトをご評価いただき,ミドルクラス向けの姉妹書『NEW ACTION FRONTIER』を創刊。“思考力のNEW ACTIONシリーズ”としてラインナップも再構成しました。
【2025年】30年目の“NEW”ACTION
そして教科書改訂に伴い,創刊30周年にあたる2025年に改訂版NEW ACTIONが登場します。詳しい内容は続報にて,ぜひご期待ください!
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