鼓門(つづみもん)
ゆうなです。ここは石川県の、金沢駅です。広々とした駅だね。
向こうの赤い門は見える? 外から見てみよう。
柱がねじれてる。あれ? この形、見覚えがあるな。ずいぶん前に見た、神戸ポートタワーと同じ仕組みじゃない? そうだ、和楽器の「鼓(つづみ)」の形だよ。
ゆうなさん、さえてるね! まさに「鼓門(つづみもん)」という名前なんだよ。
やったあ、大当たり! そうそう、柱の側面が不思議なんだよね。左右の両側が、へこんだみたいにカーブして見える。これは何の曲線だろう。円?

惜しい。正解は、双曲線だよ。双曲線は覚えてる?
双曲線といえば、反比例だよね。反比例のグラフは、2つでワンセット。つまりこの柱って、\(y=\cfrac{6}{x}\) のようなグラフを\(45^\circ\)回転させたイメージなのかな?

うんうん、その通り! 柱を作っているのは、「一葉双曲面」という「曲面」なんだけど、詳しい話はまたいつか!
一葉双曲面…自分でも調べてみる! ところで、この柱の模型、作ってみたいな。ええと、まずは観察から。細い柱が1、2、……、12本だね。そして、内側にも逆向きのねじれがある。二重構造で、クロスしているのか。
ほほぅ! 内側の構造まで、よく観察できたね。まずはシンプルに、一重で考えればいいと思うよ。
お絵描きアプリでつくってみるね! 12本の柱には、分かりやすいように番号をつける。あっ、ちょうど時計の文字盤みたい。まずは、上下にねじれがないと考えると……うん、つまり円柱だよね。上の文字盤と下の文字盤を1時間分、ずらしてみるよ……ほら、ねじれてきた……。


いいね! そのままどんどん、ねじっちゃう?
ねじっちゃうね。鼓門の形に近いのは、左の図くらいかな? もっとねじると、さらに細くなっていく。直線しか使っていないのに、こうやって曲線ができていくのは、何度やっても不思議だよ。


これで仕組みがわかったから、二重構造の模型だって作れるよ。アクリルの箱の上下に、こんなふうに穴をあけるんだ。まずは内側の12個の穴から、竹串を差し込んでいく……


きれい! じゃあ次に、外側の竹串だ。逆向きにねじりながら、差し込んでいくよ……。
最後に、はみ出た部分をカットすれば……よーし、完成!
やったー!

*鼓門/石川県金沢市。2005年に完成。設計は白江龍三氏。金沢では古くから能楽が盛んなため、能で使われる打楽器「鼓(つづみ)」をモチーフにデザインされた。
*写真提供・イラスト作成:大野寛武
〒920-0858 石川県金沢市木ノ新保町
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