うーん、部屋いっぱいに、いろいろな万華鏡。1つ1つがオブジェとして美しいし、中をのぞくと、やっぱり不思議だね。
ここは、千葉県の「流山万華鏡ギャラリー&ミュージアム」。今日はひろとさん・はるかさんと一緒に、万華鏡を見にきたよ。
手の中で、無限に花が咲いていくみたい。でもこれ、筒の中で細い鏡が組み合わされているだけなんだよね。最初に考えた人は、すごいなぁ。
そこに注目するとは、さすが、はるかさん! スコットランドの科学者、ディヴィッド・ブリュースターが発明して1817年に特許を取ったのが、万華鏡の元になった装置だよ。光の実験のための装置が、おもちゃとして広まったんだ。
へえぇ、200年以上も昔のことなんだね。日本はその頃、江戸時代だ。
なんと発明から2年後には日本にも輸入されて、にせ物が出回るほどの大人気になったんだ。
自分で作りたくなるのもわかるなあ。ブリュースターの元の装置は、鏡が2枚だったんだよね? 今ここで、実験してみよう。はるかさん、鏡を持っていたら貸してくれる? ビーズはきれいだけど、映っている向きがわかりにくいから……そうだ、ひらがなの「あ」の文字を使ったらどうかな。……あれ? きれいな模様にならないな……そうか、2枚の鏡の角度がポイントなのかも。
ひろとさん、じゃあ分度器を使おうよ。まずは鏡を垂直に置いて考えてみるのはどうかな?
ほおお、きれいに4この「あ」が並んだ!
「あ」と逆向きの「あ」が交互になってる。「あ」の数を、もっと増やせないかな。例えば、10この「あ」を並べるには……
ええと、360÷10=36だから、36°だね。見て! こうなるよ。
大成功! やっぱり「あ」と「逆あ」が交互になってるね。じゃあ、半分の5こにするには?
角度は36°の倍にすればいいから、72°だね。あっ、パターンが変わった。文字の並びは、「あ」「逆あ」「あ」「あ」「逆あ」だ。そうか、奇数だから全部が交互にはならないんだ。ポイントは、「あ」の数が偶数か奇数か、ということだね。
じゃあ、次は普通の万華鏡を考えてみるね。
こんなふうに正三角柱になるように鏡を貼ったものだから、角度は60°だね。
おおお〜。正三角形の敷き詰めになった! 真ん中の正六角形には、「あ」と「逆あ」が交互に6こ並ぶ、偶数のパターンだ。
よく見ると、「あ」の移動の仕方は3つあるよ。例えば、①と②は対称移動で、①と③は回転移動。①と④は平行移動だ。
うーん、すごいよ、はるかさん! 万華鏡の模様のしくみが、くわしくわかったね。どこまでも広がる花模様の秘密は、これだったんだ!
*流山万華鏡ギャラリー&ミュージアム/千葉県流山市。1889年(明治22年)に建てられ、2011年(平成23年)には国登録有形文化財に登録された、土蔵造りの建物を活用。市内在住の万華鏡作家・中里保子氏の作品などを展示している。
*写真撮影/大野寛武
〒270-0164 千葉県流山市流山
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