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2024.11.04

世界のタイルを見にいこう

世界のタイル博物館

うーん……なんて、こまかい模様……これはなんとも……ワクワクするね……。

しほさんとみさきさんと一緒に、愛知県常滑市のINAXライブミュージアム「世界のタイル博物館」にやって来たよ。しほさんは、やっぱりタイルの模様に夢中だね。

それにしても常滑市の「とこなめ」って、おもしろい名前。ますりん、タイルと、何か関係があるのかな?

うふふふ、みさきさんは地名の方に興味があるんだね。常滑は、「床(地盤)がなめらか」という意味だといわれているよ。なめらかな粘土がたくさんとれて、古くから陶器の産地として有名だったんだ。タイルは明治時代から作られているんだって。この博物館は、タイル研究家・山本正之さんのコレクションをもとにオープンしたんだよ。

そういえば、来るときにレンガの煙突をたくさん見たよ。ここは焼き物の町だったんだ。でも博物館の中は、なんだか日本じゃないみたい。ここの壁、焼き物でいろんな模様が作られているね。しほさんが夢中になるのも、わかるな。

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タイルの原型ともいわれる、クレイペグ(粘土釘)の壁だよ。紀元前3500年頃、つまり5500年以上も昔のメソポタミアの神殿の壁のモザイク模様を再現しているんだ。

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うーん……この、ひし形模様は……どう作っているのかな? 中心の1個を囲んで、1周めのひし形を作るには赤のペグが8個。その周りを囲む2周めのひし形を作るにはクリーム色のペグは……数えてみると16個だ。 1周ずつペグが多くなっていくね。ひし形の順番とペグの数の間には何かきまりはあるのかな?

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こういうときは、表にまとめるとわかりやすいんじゃない? 1周ずつ、どんどん数えていくよ……さぁ、こうなりました。

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わぁ、さすがみさきさん! 2周めのひし形を作るには、1周めから8個増えている。3周めを作るにはさらに8個増えて、4周めもさらに8個・・・・・・あっ、いつも8個ずつ増えている!

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本当だ。でも、どうしてかな? 増え方を、もっとこまかく見てみようか。あれ? 私、気づいちゃった! 例えば3周めを「く」の字みたいに左右に分けて、そのまま4周めにピッタリ合わせるよ……4周めのひし形の上と下の部分を、よーく見てみて。

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上と下で4つずつ、確かに合計で8個増えてる!

表を縦に見ると、ひし形の順番「□周め」を8倍すると、ペグの数「○個」になるね。

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ええと……こういう模様は、いろいろな見方ができるよね……そうだ、それぞれのひし形を、4つのかたまりに分けて考えてみたら?
まず1周めは1つのかたまりに使われているペグは2個だから、ペグの数は全部で2×4=8 で、8個になるよね。同じように2周めは1つのかたまりにペグは4個、3周めは1つのかたまりにペグは6個……つまり、□周めでは1つのかたまりに使われるペグの数は、□×2になっている。だから、□周めのひし形を作るのに必要なペグの数(〇こ)は、
〇=□×2×4=□×8になるんだ!

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なるほど! 区切り方を変えて、別の数え方をみちびき出したんだね。すごいよ、しほさん。さらに他の考え方もないか考えてみるといいかもね!

しかもこれ、比例になってるよ。1周めが8個、2周めが2倍の16個、3周めは3倍の24個、……。ひし形の順番が2倍、3倍、…になると、ペグの数も2倍、3倍、…になっているね!

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こんなにシンプルな並べ方なのに、いろいろな見方ができる。タイルって、本当に奥が深いんだね。

ね! いつまでだって、見ていられるでしょ?!

*INAXライブミュージアム「世界のタイル博物館」/愛知県常滑市。1997年開館。タイル研究家の山本正之氏が世界中で集めた約6000点のタイルを常滑市に寄贈したことをきっかけに、INAX(現在のLIXIL)が開設した。

*イラスト制作/大野寛武

〒479-8586 愛知県常滑市奥栄町1-130

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