今週の算数・数学フォト
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- 星の明るさの求め方
そうたです。ルーローと、長野県の阿智村に来ています。こんな星空、見たことがないよ。ぼんやりした白いものが、空を横切って見える。もしかして、あれが天の川?
まさに天の川だよ。ここ阿智村は標高1200m、空気が澄んでいて近くに明るい光がないから、星がとってもきれいに見えるんだ。「星の観察に適した場所」ランキングの1位に選ばれたこともある場所なんだよ。
じゃあ、今見えているのは日本一の「夏の大三角」だね。七夕の織姫と、彦星と、はくちょう座の尻尾の星だったかな。星がたくさんで、むしろ見分けるのが難しいくらいだけど……うーん、あれとあれと、あれかな?
さすが、そうたさん。夏の大三角を作る星は、天の川をはさんで向かい合う織姫のベガ、彦星のアルタイル、そしてはくちょう座のデネブ。どれも1等星だよ。
1等星というのは、とても明るい星のことだね。2等星、3等星とだんだん暗くなっていって……何等星まであるんだっけ?
6等星まであるよ。空の星々を最初に分類したのは、紀元前190年ごろに生まれた古代ギリシャの天文学者、ヒッパルコスだと言われている。彼は最も明るい21個の星を1等星、かろうじて肉眼で見える星を6等星と決めて、6段階に分けたんだ。
へえぇ、2000年以上も昔に!
次に星の明るさの分類が進んだのは、19世紀のこと。1等星の明るさが6等星の明るさのおよそ100倍だということがわかったんだ。そしてイギリスの天文学者のノーマン・ポグソンは、値が5つ減ると明るさが100倍、つまり、値が1つ減るごとに明るさが約2.5倍になる「等級」を定めた。
あれ? そもそも21個の1等星って、全部同じ明るさなの? 実は全部、違うんじゃない?
その通り。 そこで、ポグソンはベガを基準にしたんだ。これによって、それまでは整数でしか表せなかった星の明るさを「1.5等級」と小数で表したり、1等星よりも明るい星の明るさを「0等級」や「-1等級」などと0や負の数で表したりできるようになったんだよ。有名な星の等級を、いくつか見てみよう。
金星(最も明るいとき)
-4.7
火星(最も明るいとき)
-3.0
シリウス
-1.46
ベガ
+0.03
ポラリス(北極星)
+2.02
アンドロメダ銀河
+3.4
肉眼で見える最も暗い恒星
+6.0
数直線みたいだ。まとめると、こんな感じかな。
わかりやすいね! この図があれば、いろいろ考えられそう。例えばそうたさん、シリウスはアンドロメダ銀河の何倍の明るさになると思う?
ええと、図を見て等級の差を考えればいいね。
だいたい5と考えてよさそうだから、およそ100倍の明るさ、でいいんじゃないかな。
そう、そういうふうに考えればいいんだ。すばらしいよ! じゃあ、ベガはポラリスの何倍の明るさになる?
等級の差はおよそ2だね。等級の差が1のときに明るさが2.5倍になるわけだから、差が2のときは……
\(2.5 + 2.5 = 5\)で、約5倍かな?
うーん、残念! 等級が1小さくなると、明るさは2.5倍になるよね。さらに1小さくなると、明るさがさらに2.5倍になるわけだから……
そうか、たし算じゃない。かけ算だね。
\(2.5 \times 2.5 = 6.25\)で、約6倍だ。
正解! バッチリだ。ところでそうたさん、太陽の明るさを等級で表すと-26.7になるんだけど、これはシリウスの明るさの何倍くらいになると思う?
そういえば、太陽だって星だよね! シリウスとの等級の差は、およそ25。5等級違うと明るさは100倍になるわけだから、答えは100を5回かけた数、つまり\(100^5\)になるんじゃないかな。
なんと、100億倍?! やっぱり太陽って、地球にとっては桁外れのスケールだね!
*阿智村の星空/長野県下伊那郡阿智村。2006年、環境省が実施する全国星空継続観察で「星の観察に適した場所」ランキングの1位となった。
*写真提供/阿智☆昼神観光局
〒395-0300 長野県下伊那郡阿智村
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