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中学校

2024.10.01

【ICT教育のイマ】クロームブック活用術 実践58~デジタル教科書/操作編(3年 関数\(y=ax^2\)③)~

相模原市立相武台中学校
加藤光顕先生

 今回は、3年関数 \(y=ax^2\) の放物線のグラフの学習の実践で活用したデジタル教科書の有効な方法をご紹介します。

【ICT教育のイマ】クロームブック活用術 実践58~デジタル教科書/操作編(3年 関数y=ax^2③)~01

①デジタルコンテンツで納得した理解を支援する

□単元:4章 関数\(y=ax^2\)  □内容:p.107 関数\(y=ax^2\)の値の変化  □学年:中学3年

 教科書p.107では、関数 \(y=ax^2\) のグラフの特徴をまとめています。\(y=2x^2\) と \(y=-2x^2\) を例として、\(x\) の値が増加するとき、それにともなって変化する \(y\) の値を調べることで、グラフの形を考えていきます。表を使って \(x\) と \(y\) の値を確認することができますが、なかにはどうしてもその値とグラフを結びつけることが苦手な生徒もいます。
 そのようなときに有効なのが、デジタルコンテンツのシミュレーションです。本コンテンツでは、グラフ上の点が右に動いていくこと、つまり \(x\) の値が増加することによって、\(y\) の値が小さくなれば減少、\(y\) の値が大きくなれば増加することを確認できます。生徒はこのコンテンツを使うことで、\(a\) の値が正の数、負の数のとき、\(y\) の値はどのように変化するのか、どのようなときに \(y\) は最大値、最小値をとるのか、イメージをふくらませて確認することができます。イメージがふくらむことで、多くの生徒が文章で書かれているまとめ(青色網掛け部分)についても納得できるようになります。
 この内容は、高校で学ぶ数学Ⅰの2次関数の理解を左右するといっても過言ではありません。高校数学でつまずかないためにも、グラフを使っての理解は不可欠といえるでしょう。

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②身のまわりの放物線を知ることで数学を活用する素地を育てる

□単元:4章 関数\(y=ax^2\)  □内容:p.114 身のまわりの放物線  □学年:中学3年

 教科書p.114は、身のまわりの放物線を紹介するページとなります。今までは、教科書の写真だけで確認するものでしたが、デジタル教科書では、動画で放物線の説明を視聴することができます。動画になったことで臨場感が増し、身のまわりの放物線について生徒の関心をより高めることができます。
 動画を通して、放物線を \(y=ax^2\) のグラフに置き換えられることによって、そこから問題解決のさまざまな可能性を想起することができるでしょう。
 私は、このような映像教材を、今までの授業では扱ったことがありませんでした。探すのに手間がかかるのと同時に、私自身が「数学」を「学問」として、机上の問題解決としての域から出ていなかったからかもしれません。しかし、それでは数学のよさや面白さ、生きた数学としての可能性を広げることはできないでしょう。

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③まとめ

 デジタル教科書が普及したことで、今回紹介したような映像教材も手軽に利用することができるようになり、私も必ず授業で利用するようにしています。その後、生徒の数学に対するイメージや好奇心は、間違いなく変わりました。今までは、生徒の数学に対するイメージは「何のために使うの?」「私たちに関係あるの?」「受験のためのもの」「堅苦しい」「難しそう」といったネガティブなものが多い印象でしたが、今では多くの生徒が「数学って面白い」「もっとできるようになりたい」「数学はとても大切だ」「ここにも数学が使われていそう」といったポジティブなイメージをもつようになりました。これは多くの生徒が、数学を身近な存在として受け入れることができるようになったからだと思います。このような映像教材を見せることで、数学を少しでも身近に感じてもらうとともに、数学の視点をもって生活する姿勢を育むことが、より良く生きる力につながるのだと信じています。

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