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中学校
2023.02.16
【ICT教育のイマ】クロームブック活用術 実践⑯~Dマークコンテンツ/操作編(1年データの分析と活用)~
相模原市立相武台中学校
加藤光顕先生
今回は、1年で学習するデータの分析と活用の実践で活用したDマークコンテンツの有効な方法をご紹介します。
①日常生活で数学を生かす教材を選ぶことで数学のよさを実感する機会とする。
□単元:7章 データの分析と活用 □内容:大繩跳びの並び方の分析 □学年:中学1年生
本校では、毎年体育大会でクラス対抗の大縄跳びを開催しています。教科書p.233には、そんな大縄跳びの並び方を教材にしている課題があり、日常の生活に直結するため生徒も意欲的に取り組むことができました。まさに数学を日常生活に生かす絶好の機会と言えるでしょう。
課題 | 体育大会でクラス対抗の大縄跳びを行います。5分間で連続して跳んだ最高回数で競います。 優勝するためには、2列と3列のどちらの並び方で跳ぶのがよいか。次の問を通じて判断しなさい。 ただし、必要に応じてDマークコンテンツを使ってよい。 |
(1) | 次の表は、2列と3列それぞれの並び方で、5分間ずつに区切って練習し、連続して跳んだ最高回数の記録です。 ここから記録の特徴を調べるためには、どうしたらよいか答えなさい。 |
(2) | 2列と3列の2つの並び方の記録には、どのような特徴があるか。それぞれ代表値を使って、説明しなさい。 |
(3) | 2列と3列の2つの並び方の記録には、どのような特徴があるか。2つのヒストグラム(度数折れ線)を使って、説明しなさい。 |
(4) | 課題(2)と(3)から、2列と3列のどちらの並び方がよいか、理由を明確にして自分なりの考えを説明しなさい。 |
②デジタルデータを用いることで、生徒に考えさせたい部分に時間を与える。
この課題のねらいは、代表値を求めることではなく、データを分析して自分なりの結論を見いだすことなので、比較し考察することに時間を与えることが重要です。そこで課題(1)(2)(3)を考える際には、Dマークコンテンツが不可欠です。2列、3列のグラフを重ねたり、並置して表したりすることができます。また、平均値、中央値、最頻値などの代表値が、ボタンを選択すれば自動で計算し表示されるので、自分で計算する必要がなく、すぐに値を比べることができます。
例えば、2列の並び方では、平均値、中央値、最頻値がほぼ一致していることを視覚的に確認できるので、課題(4)では、計算が苦手な生徒も「最頻値が大きく、散らばりが小さいので2列のほうが安定した回数を跳ぶことができる」という考えを導くことができていました。また、3列の並び方では、グラフから散らばりが大きいことが容易にわかります。そのことから「散らばりが大きいが、最高回数が高いので練習を積めば大きく回数を伸ばせる可能性がある」という考えを導く生徒もいました。「練習回数や本番までの日程によって、2列と3列を決める必要がある」という意見もあり、とても大切な視点も発見していました。
このような考えに1時間の授業で到達するためには、すぐにデータを比較できる環境が必要です。計算やグラフを初めからかいていたら、それを完成させるだけで大幅な時間を要します。実際にデータを分析する場面では、代表値を求めたり、グラフをかいたりすることは、パソコンで行うことが多く、人に求められるのは、それを読み解き判断する力だと思います。そのためにも、このような身近な教材を、Dマークコンテンツを使って分析し結論を出す機会は非常に重要だと感じました。
③まとめ~正解は環境によって変わる(そのときの納得解を見いだす)ことを学ぶ~
7章の単元名が「資料」から「データ」に変更されていることからもわかるように、解を導く方法も紙ベースからデジタルベースへ移行することが求められています。クロームブックなどのICTを使ってデータを分析し、結論を見いだすことがますます重視されているのだと思います。
そして、さらに大切なのは、結論を出すための理由です。理由を考えることは、客観的なデータをより深く分析することにつながり、その分析内容から、大縄跳びの並び方は環境によって2列にした方がいいことも、3列にした方がいいこともあると判断することができます。正解は環境によって変わる(そのときの納得解を見いだす)ことを学ぶうえで必要な経験となるのではないでしょうか。
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