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中学校

2022.03.10

【ICT教育のイマ】個別最適化を目指して ~タブレットドリル活用方法の紹介~

津市立東橋内中学校
池上昌和先生

 本校は、外国につながる生徒の在籍率が50%を超える学校である。学力にばらつきがあり、数学の授業では、習熟度別授業を行っている。「発展コース」、「標準コース」、「基礎コース」の3つのコースを生徒の希望をもとにクラス分けをしている。今までは、教科書に準拠した問題集を全ての生徒が使用していたが、一人ひとりの習熟度が異なるにもかかわらず、同じ問題集を使用しており、学習内容の定着には十分な効果が見られない状況が続いていた。数学の得意な生徒は難易度を上げる必要があり、数学の苦手な生徒は基礎的な内容を繰り返し取り組む必要がある。より、一人ひとりの実態に即した問題集を提供していくことが重要であると考え、今年度は「タブレットドリル」を活用することにした。以下では、タブレットドリルについての活用方法をまとめる。

 1つの分野で、4つの難しさの問題を選ぶことができる

【ICT教育のイマ】個別最適化を目指して ~タブレットドリル活用方法の紹介~画像1
図1
図2
図3

 上の図2・3は、2年生の内容である多項式の計算の問題である。図1にあるように、「たしかめプリント」、「チャレンジプリント」、「フォローアッププリント」、「ドリルプリント」の4つの難易度のなかから問題を選択できる。図2は、標準的なレベルのたしかめプリントの多項式の計算問題、図3は難易度の高いチャレンジプリントの多項式の計算問題である。生徒一人ひとりの学力に応じて、選択して取り組むことができ、正答率に応じて自動的に適切な難易度の問題に誘導もしてくれる。習熟度別学習でコースを分けていても、「計算は得意でも図形は苦手」など、生徒一人ひとりが領域によって得意なところや苦手なところがある。タブレットドリルならその生徒一人ひとりに合わせた学習が可能である。また、従来の問題集とは違い、何度も繰り返し学習することが可能である。繰り返し学習することによって、基礎・基本を徹底して身に付けることができる。選択式問題だけでなく、手書き入力で解答ができるため、本校では日本語の習得にも役立っている(図4)。また、すぐに自動採点され、間違った問題をすぐにもう一度取り組むことができる(図5)。

【ICT教育のイマ】個別最適化を目指して ~タブレットドリル活用方法の紹介~画像4
図4
【ICT教育のイマ】個別最適化を目指して ~タブレットドリル活用方法の紹介~画像5
図5

2 学習履歴を見ることができ、生徒一人ひとりの学習状況を確認することができる

 タブレットドリルには教師用にタブレットドリルマネージャーがあり、平均点、学習回数、学習時間、成績変化を確認し、クラスや生徒一人ひとりの学習状況を把握することができる。新学習指導要領では、主体的に学習に取り組む態度は、粘り強く学習に取り組む側面と学習を調整する側面の2つの側面によって身に付き、評価するものとなっている。今までの紙のワークだと一度きりの学習しかできないことと、生徒たちの努力の過程が見えづらかった。しかし、タブレットドリルでは、生徒たちの学習状況を細かく把握したうえで、粘り強く学習に取り組むことに問題があるのか、それとも学習を調整していくことに問題があるのかを把握することができ、生徒一人ひとりにあったアドバイスをおくることができる。例えば、図6の一番上の生徒は、累計学習回数が多く、たくさんの時間を使い、数学の学習を努力しようとしているが成績が上がっていない。これは、粘り強く取り組むことはできているが、学習を調整することができていないということである。このデータを見たうえで、教師が生徒一人ひとりに個別に声をかけ、学習の仕方を共に考えていくことができる。

【ICT教育のイマ】個別最適化を目指して ~タブレットドリル活用方法の紹介~画像6
図6

3 所属学年だけでなく、どの学年の学習もできる。解説動画もあり、復習だけでなく、先行学習も

 3年生の3学期は受験直前となる。今までは、新たに受験教材などを購入し学習していた。タブレットドリルでは、何年生の生徒であっても、1~3年生のどの分野の学習にも取り組むことができる。例えば、連立方程式が苦手な生徒であれば、1年生の文字式や方程式の内容に戻り、学習しなおすことも可能である。また、数学に関しての検定を受ける生徒もいる。検定は、学年終了時までの内容となるので、年度途中や、学年以上の級を受検するには、先の内容も学習しないといけない。

【ICT教育のイマ】個別最適化を目指して ~タブレットドリル活用方法の紹介~画像7
図7

各単元には、解説動画(図7)が用意されており、その動画を視聴し、先行学習することも可能である。生徒たちは、タブレットドリルを用いて先行学習し、検定に挑戦した結果、学年以上の検定に合格する生徒の姿もあった。

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