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- 【ICT教育のイマ】デジタル教科書のキソ・キホン①…
おそらく皆さん一度は耳にしたことがある「デジタル教科書」。でも、実際にはどんなものか見たことがないという方も多いのではないでしょうか?
そこで、このコーナーでは、何回かに分けてデジタル教科書の最新動向や使い方について、解説していきたいと思います。
デジタル教科書には「指導者用」と「学習者用」がある
一口にデジタル教科書と言っても、いくつかの種類があることをご存知でしょうか?
「指導者用デジタル教科書(教材)」は、教師が一斉指導において電子黒板やプロジェクタなどの大型提示装置を用いて使用する提示用教材です。
教科書紙面の拡大提示のほか、練習問題の解答を表示したり、シミュレーションコンテンツや映像コンテンツなどを紙面上のボタンから呼び出したりすることができます。
また、教科書の紙面に画像を貼り付けたり、教科書の画像や本文を編集してオリジナルの教材を作成したりといった教師向けの機能が充実しています。
一方、「学習者用デジタル教科書」は、児童・生徒が一人一台の端末で利用するデジタル教科書です。
学習者用デジタル教科書は、原則として紙の教科書と同じ内容でなければならないとされており、追加で音声や動画などのデジタルコンテンツを収録することができません(※1)。
しかし、それだけではデジタル化の効果が限定的になってしまうため、多くの会社では学習者用デジタル教科書と一体的に利用できる「学習者用デジタル教材」を発売しています。
両者の制度上の位置づけの違いを明確にするために、現在では指導者用デジタル教科書のことを「指導者用デジタル教科書(教材)」と呼び、「学習者用デジタル教科書」と区別するようになっています。
すでに6割以上の学校で使われている指導者用デジタル教科書(教材)
そんなデジタル教科書ですが、実は指導者用デジタル教科書(教材)については、すでに全国の6割以上の小中学校で何らかの教科が導入されており、学校現場でもすっかりおなじみのツールとなりました(※2)。
おそらく先生方の多くが、「デジタル教科書」と聞いたときに思い浮かべるのはこの指導者用デジタル教科書のことではないでしょうか。
算数・数学の指導者用デジタル教科書では、教科書の図や問題の解答の拡大提示に加え、図形やグラフを動かしながら説明したり、ドリルやフラッシュカードで補充問題を提示したりすることが可能です。実際にお使い頂いている先生からは「一度使ったらデジタル教科書がない授業には戻れない」という声を多く頂いています。
令和3年度から大規模に導入が始まった学習者用デジタル教科書
一方で、学習者用デジタル教科書については、小学校では令和2年、中学校では令和3年に初めて各社から発売が開始されました。
GIGAスクール構想による端末の整備と、文部科学省による「学習者用デジタル教科書普及促進事業」により、令和3年度から導入が急拡大し、こちらも全国の約半分程度の学校でいずれかの教科の学習者用デジタル教科書が導入されています。
学習者用デジタル教科書は、教科書紙面の総ルビ・分かち書き表示や、本文の読み上げなどの特別支援機能が充実しています。
文部科学省の普及促進事業では、それに加えて追加のデジタルコンテンツを収録した「教科書+教材一体型」での導入が進められており、GIGAスクール構想で導入された学習者用端末を活用した、「誰一人取り残すことのない、公正で個別最適化された学びの実現」への寄与が期待されています。
さて、今回は「デジタル教科書のキソ・キホン①」として、デジタル教科書の種類や現状について簡単にご紹介しました。
次回からはもう少し踏み込んで、指導者用デジタル教科書、学習者用デジタル教科書それぞれの特徴についてご紹介していきたいと思います。
授業における使い方のコツなども交えてご紹介していきたいと思いますので、お楽しみに!
※1:紙の教科書から二次元コード等で連携しているデジタルコンテンツについては学習者用デジタル教科書でもご利用いただけます。
※2:『令和元年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果(概要)』、文部科学省、2020.より
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