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2021.09.27

【ICT教育のイマ】身近なものを使ってICTを当たり前に

文部科学省のGIGAスクール構想を受け、生徒一人一台のタブレットの導入が進み、タブレットを使ったICT活用が急激に求められる時代になりました。
「ICT活用」と聞くと、なんだか気が重くなってしまう先生方も少なくないはずです。今回ご紹介する事例は、皆さんの身近にあるものを活用した実践になっています。ぜひ、ハードルを下げて無理なくICT活用を進めてほしいと思います。

「まずはやってみよう」

皆さんの学校では、どのくらいの割合の先生が授業でICTを活用しているでしょうか。本校では2021年1月にタブレットが導入されて以降、ほとんどの先生がICT機器(タブレット)を活用した授業を実施しています。本校で教科や年齢を問わずICT活用が多い要因を整理していきましょう。

東京都稲城市のICT環境

  • 教員・生徒が一人一台iPadを持っています。
  • Google Workspace for Educationを導入し、全員が独自ドメインを所有する他、ドキュメント、スプレッドシート、スライド等がドライブ内に無制限で保存可能です。
  • Google Classroomや共有ドライブを利用し、課題の提出やデータの共有が可能です。
  • 各教室にプロジェクタ及びApple TVを設置しています。

本校のICT取り組みの現状

  • GS(GIGAスクール)推進委員会をつくり、ICT関連の取り組みに包括的に対応しています。既存の分掌(教務部など)とは別に組織した特別委員会です。
  • 各教科での取り組みは、教員どうしが職員室ですぐにフィードバックし、他の教科等に生かされます。「何でも相談しやすいオープンな職場の環境づくり」がICT活用を広める鍵だと思います。

失敗を恐れず使ってみよう

ICT活用の初期段階では、「まずはやってみよう」という気持ちが大切です。ICTを「カッコよく使いこなす」よりも、「失敗を恐れず使ってみよう」という先生が多い学校になってほしいと願っています。最初の1時間が反省点の多い授業になってしまったとしても、その経験が先生方や生徒にとって具体的なコツとして蓄積され、やがて学校全体の財産となっていきます。学校全体が「まずはやってみよう」の精神で取り組むことによって、半年も経てばタブレットなどのICT活用が当たり前の環境になるでしょう。

特別なことはしない

本校数学科でのICT活用の実践を2つご紹介します。

①デジタル教科書のステップ表示

東京書籍の指導者用デジタル教科書「新しい数学」では、解答部分に「ステップ表示」機能(解説を一段一段表示していく機能)があります(写真1)。

  • 生徒は解答を読み、理解することに集中できます(解説したい箇所が解答中盤にある場合に効果的です)。
  • 自分の答えと教科書の解法を比較することができます(習熟度が高い生徒におすすめです)。
写真1・指導者用デジタル教科書の画面

写真を撮って、すぐ共有

「カメラ」アプリを利用することで、すぐに生徒のワークシートを投影し、クラス全体へ共有することができます(写真2)。従来は、授業時間の都合上、速く問題が解けた生徒を指名することが多くありました。この方法の場合、生徒の板書時間が不要になるため、指名する生徒の幅が広がります。
また、撮影した写真は、iPadの「写真」アプリの「編集」から「マークアップ」を選択すれば、その場で書き込むことが可能です。写真3では、発表する生徒がA=B=C 型の連立方程式の解法を説明していましたが、途中で計算ミスの指摘を受け、自ら修正した記録です。このように、簡単に生徒自身が加筆修正できることで、「対話的な学び」にもつながります。
なお、ここでご紹介した「カメラ」や「写真」アプリは、iPadやiPhoneの標準アプリなので、多くの先生方や生徒にとって身近な機能ではないでしょうか。

写真2・生徒のワークシートを撮影して投影

ご紹介した事例のように、身近なものを使って手軽にICT活用を進めてほしいです。大切なことは、ICT活用が先生方や生徒にとって、当たり前になっていくことです。

課題と展望

ICT活用の中期以降の課題

ICT活用の初期段階では、ICT機器自体に注目が集まりがちですが、やがて慣れがきます。ICT活用の中期になると、ICTを活用した授業の改善が必要になってきます。これには、授業アイデアを多く持っているベテランの先生の力が必要不可欠です。このようにICT活用の推進には、先生どうしで情報を共有し、チームとして取り組んでいくことが重要です。

今後の展望

「思考力・判断力・表現力」の育成をねらいとして、授業にICTを活用したいと考えています。写真機能を使って発表させる場合も、様々なことを検討する必要があります。

  1. どのような問題を扱うか(証明、補助線、多様な解法がある問題など)
  2. どの場面でICTを活用するか(説明・発表、加筆修正など)指名する生徒の幅が広がるので、発表させる順番やタイミングも改めて検討していきたいです。
  3. どのように評価するか(ルーブリック評価など)

このような授業実践のために、まずは先生にとっても生徒にとってもICT活用が当たり前となるよう、本校でも引き続き取り組みを続けていきたいと考えています。

著者:稲城市立稲城第一中学校 菅原亮

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