特集記事(小中学校)

小学校

2026.05.14

【算数・数学で考えよう! SDGs】6年生「プラスチックごみについて調べよう」を活用した取り組み

 今回お届けするのは、弊社が運営しているSDGs学習サイト「EduTown SDGs」とのコラボ企画第2弾です!
 本記事では、東京書籍の『新編 新しい算数』6年生「算数で読みとこう プラスチックごみについて調べよう」(p.188)の教材を使った、算数・数学科の学習とSDGsで掲げられている社会課題の解決をテーマにした指導案をご紹介します。
 ご実践いただいたのは、神戸市立六甲アイランド小学校の種田和彦(たねだかずひこ)先生です。
 算数の時間にSDGsのような探究的な要素を取り入れる際のポイントや、ICTツールの効果的な活用方法、授業後の子どもたちの変化など、読み応えのある内容となっております。ぜひご覧ください!

~教えてくださった先生~
神戸市立六甲アイランド小学校 主幹教諭 ※所属は執筆時
種田 和彦 先生

神戸市に採用されて以来、神戸市小学校教育実践研修算数グループに所属し、日々よりよい算数科指導法を研究中。授業では「すでに習ったことを使えば問題は解ける」を大切にして指導している。

種田和彦先生

〇EduTown SDGsから活用する資料

1 授業の展開例

授業について

「算数で読みとこう プラスチックごみについて調べよう」

目標:既習事項を活用してデータを考察し、問題解決能力や情報処理能力を伸ばす。
   学習してきた算数の知識を使って問題解決学習ができる。

時数:全4時間(標準時数は2時間)
 標準時数の2時間に前後1時間ずつ取り、単に与えられたデータを読み取る学習にならないように、自分たちで問題を設定する時間と、学習した結果、自分には何ができるか考える時間を計画しました。

1時間目:問題を設定する・学習の計画を立て、見通しをもつ

  • これまでにSDGsについて学んできたことや知っていることについて話し合う

 (本校では、総合的な学習の時間で、目標11「住み続けられるまちづくりを」について学習しています。)

  • ネスレの「キットカット」の実物を見せる

 ネスレ日本株式会社の事例記事に登場する「キットカット」の実物を見せて、何と関係があるのか考えさせ、興味や関心をもたせます。

  • EduTown SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」の解説映像を見る

 分かったことや疑問を書き出していきます。

  • 問題を見つける

 出てきた疑問について子どもたちと話し合う中で、「海の豊かさを守るために自分たちに何ができるか考えてみよう」という問題設定になりました。そして、「どのような海洋ごみが多いのだろうか」という疑問が多かったので、次の時間に調べることになりました。どのような海洋ごみが多いのかが分かれば、解決策も考えやすいと意見がまとまりました。

  • 算数を使って、SDGsについて考える

 調べていく上で根拠となるデータを見ていくことから、「算数」を活用することを強調しました。「だから算数なのだ」という声が子どもたちから上がっていました。

【算数・数学で考えよう! SDGs】6年生「プラスチックごみについて調べよう」を活用した取り組み03

1時間目の板書:資料を見て分かったことや、児童の疑問が書かれている

2時間目、3時間目:データを分析する

  • 教科書のグラフを活用して、ごみの量や種類などを調べる

 2時間目は、「どのような海洋ごみが多いだろうか」という子どもたちの疑問を解決するために、教科書にあるデータを調べました。データを見るときには、何についての資料か、出典は信用できるかなどもあわせて確認しています。答えは一目瞭然ですが、その数字を多いと捉えるか、少ないと捉えるかは人それぞれなので、どのように思うか、どのように考えるかを聞きながら展開しました。

【算数・数学で考えよう! SDGs】6年生「プラスチックごみについて調べよう」を活用した取り組み04

 3時間目は、「どのようなプラスチックごみが多いだろうか」について調べました。さらに、グラフの割合の数値からだけでなく、割合の知識を使い、深くデータを見ることを通して算数の有用性を感じられるようにしました。その結果、「プラスチックボトル類が多い」と分かりました。

【算数・数学で考えよう! SDGs】6年生「プラスチックごみについて調べよう」を活用した取り組み05
  • プラスチックごみを減らすことへの取り組み(ペットボトルの軽量化)について学ぶ

 主体的な学びができるように、教科書の問題としてではなく、学習の流れの中でグラフを見て出てきた疑問として出題しました。考える中で、言われたことを素直に受容するだけでなく、批判的に考察することを大切にしました。その結果、子どもたちからは、問いを投げかけると同時に疑いの姿勢が見られました。

  • 振り返りを書く

 単にグラフを読み取ることが目的ではないので、学んだことを整理して、それをもとに自分はどう考えるかを毎時間書くようにしました。また、そこから次へつながる疑問を見つけられるようにしました。

【子どもたちの振り返りの例】

〇算数を使うことで、身の回りのデータを分析したり、分析した結果をもとに問題解決したりすることもできるということが分かった。あらためて算数は生活や社会に役立つ教科だと思った。
〇算数がSDGsやいろいろなことに関係しているということが分かった。他にも関係していることがあったら調べてみたい。算数で表やグラフを使うことでより詳しく調べることができる。
〇算数を使って考えてみて、資料やデータの見方をさらに深め、正しく見つけることができた。今回学んだ資料やデータの見方を活用していきたい。
  • 企業の取り組みを確認し、「私たちに何ができるか」を考えることを伝え、次の時間へつなげる
【算数・数学で考えよう! SDGs】6年生「プラスチックごみについて調べよう」を活用した取り組み06

2時間目の板書例

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児童が話し合い、課題解決について相談する姿

(児童A)

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(児童B)

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【算数・数学で考えよう! SDGs】6年生「プラスチックごみについて調べよう」を活用した取り組み12

子どもたちの考えや立場について書かれたノート

 今回、ノートはすべてSKYMENUの「発表ノート」を活用しました。子どもたちは入力も慣れているので、自分の考えなどを書くには、紙のノートよりこちらのほうが便利です。

4時間目:結論を出す

  • EduTown SDGs 目標12「つくる責任 つかう責任」の解説映像を見る

 企業の努力だけでなく、消費者である私たちの行動が重要であることを確認しました。

  • 企業の具体的な取り組みを知る

 私たちができることを考える手がかりとして、ネスレ日本株式会社の事例記事を活用しました。

  • 海洋プラスチックごみを減らすために私たちに何ができるか考える

 SKYMENUの「発表ノート」と「ライブ公開提出箱」の機能を活用して、友達の考えを共有できるようにし、自分の考えだけでなく友達の考えを含めて、考えることができるようにしました。また、今回あらためて学習したことをもとに、どのように考えるかを意識するように伝えました。

【算数・数学で考えよう! SDGs】6年生「プラスチックごみについて調べよう」を活用した取り組み13

4時間目の板書:子どもたちが考えた海洋プラスチックを減らす方法

【算数・数学で考えよう! SDGs】6年生「プラスチックごみについて調べよう」を活用した取り組み14

プラスチックごみを減らすために子どもたちが考えた方法

2 授業のまとめ

自分ごとの問題とする

 問題解決学習として取り組んでほしいので、教科書を開いて順番に問題を解くのではなく、教科書のデータや問題も使いつつ、自分たちで見つけた課題を解決するためのデータが教科書にあったという流れとなるように心がけました。そのために、今回は教科書の資料や問題をSKYMENU の「発表ノート」に貼り付けて、子どもたちに配布しました。教師側もデジタル教科書の提示でなく、PowerPointで資料を作成し提示しました。また、子どもたちの考えを大切にするために、子どもたちの気づきや疑問を引き出しながら、課題を見つけ、全4時間の学習をつないでいきました。

算数を使って問題解決する

 この授業を始めたとき、子どもたちからは「社会だ」「総合じゃない?」という声がすぐに上がりました。社会科や総合的な学習の時間としてだけでなく、「算数科」ということを意識してほしかったので、その都度、どのように算数と関わりがあるかを確認しました。もちろん、さまざまな教科の学習が重なり合ってのものですが、その中にしっかりと算数の学習が活きてくることをおさえました。その甲斐あって子どもたちの振り返りの中では、算数の有用性にふれている内容がよく見られました。

3 種田先生への一問一答

― EduTown SDGsを算数の授業で使ってみた感想を教えてください。
算数の学習では、教える内容がはっきりしているので、その内容を指導することにどうしても重点を置いてしまいがちですが、算数で身につけた知識・技能を生活の場面や他の学習で活用する機会を作りたいと思っています。また、子どもたちにもそのような体験を通して算数の有用性を実感してほしいです。EduTown SDGsは、子どもたちも少なからず関心のある現在のさまざまな社会の課題を取り上げており、興味や関心をもって取り組める内容だと感じています。その課題が算数を活用して解決できるならば、子どもたちにとって、学習してきた算数の知識・技能を使う素晴らしい時間になるはずです。今回の取り組みは4時間の学習計画でしたが、子どもたちのデータを見る視点や疑問などは、教師が想定している以上でした。ぜひ、この学習から広げてさらに学んでほしいと思います。

― 算数の他の単元の授業と比べて、子どもたちの反応はどうでしたか?
算数を使ってSDGsについて学び、グラフや資料を読み取る学習を通して、子どもたちは社会や環境で起きている問題をより深く理解できたと感じています。特に、「数字」や「データ」を通して比較しながら考えることで、分かりやすくなり、算数が生活や社会に役立つ教科であることに気づいたという意見が多かったです。また、データを分析することで新しい発見があったり、自分にできることを考えるきっかけになったりと、学びを自分事として捉えられるようになった子どももいました。子どもの「あらためて算数が生活や社会に役立つ教科だと思った」という振り返りは、嬉しい反面、このような授業づくりをさらに実践していく必要があることを感じさせられる機会となりました。

― 算数とSDGsにはどんなつながりがあると思いますか?
算数で育成を目指す力は、生活の中で役立ってこそ価値があると思います。本校の子どもたちの多くは、このような学習について「総合的な学習の時間」や「社会科」で取り上げるものと思っているようですが、「データの活用」はまさに算数の内容です。子どもたちの言葉にあったように、「算数があったからより分かる」と言ってもらえたら嬉しいです。

〇「EduTown SDGs」とは
 記事内で紹介された「EduTown SDGs」は、小学生から高校生までを対象とした、SDGsについて一から学べるウェブサイトです。ウェブサイトでは、SDGsの17の目標とそれらの解決に取り組む企業の事例を解説映像と解説記事から学ぶことができます。

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