「使用実践例」は,全国の高校の先生から,教科書・教材の実際のご活用について紹介していただく企画です。
今回は,入試対策問題集『ニューグローバルトップ数学Ⅰ+A+Ⅱ+B+C』について,川田先生にお伺いしました。
常翔学園中学校・高等学校
特進系コース3年学年主任
川田 雅人 先生
ご勤務校について教えてください。
本校は,一貫コース,スーパーコース,特進コース,薬学・医療系進学コース,文理進学コースに分かれます。また,2024年度入学生からは新たにグローバル探究コースも増設し,生徒の進路希望に応じて最適なコースに所属できる環境があります。
本教材はスーパー,特進,薬学・医療系(総称して特進系コース)の中で,希望者購入としました。基本は自学自習で使用させていますが,一部については高校3年次の各種授業の復習問題として扱いました。
なぜ本教材を採用されたのですか?
本校生徒は入学時より,全コースで参考書『NEW ACTION LEGEND』(以下“レジェンド”)もしくは『NEW ACITON FRONTIER』を副教材として購入します。特進系コースでは授業内で扱う問題をレジェンドから可能な限り抜粋します。また,試験範囲もレジェンドのページ数で指定することで,出来るだけ学習の中心をレジェンドで取り組むように促しました。卒業生からは「レジェンドをやりこめば神戸大学なども合格できる」という声が上がっていたので,積極的に活用することを勧めました。
ニューグローバルトップは各項目の問題が「Review」「Exercise」「Try」のレベル別に分かれており
- 「Review」は授業でも扱うような典型問題(レジェンド★1~★2例題程度)
- 「Exercise」は授業でも応用問題として扱うレベル(レジェンド★3例題程度)
- 「Try」は難関私大や国公立大学の受験に対応した発展レベル(レジェンド★4例題程度)
と幅広い学力層や扱う時期に対応できます。
さらに「Review」「Exercise」で詰まったときは,レジェンドに帰着できるよう対応する例題の紙面を閲覧できるデジタルコンテンツが用意されており,「Try」に関しては解説動画が準備されているため,教員が不在の中でも自学自習に励むことができます。解答冊子には「思考のプロセス」(解答に至るまでの考え方を図解したもの)も記載されており,レジェンドと同じ読み取り方ができます。
上記内容を知り,非常に質の高いテキストと感じたため,採用させていただきました。
本教材をどのように活用されていますか?
本教材は特進系コースの希望者を対象に高校2年1月に購入しました。基本的な指導方針としては,高校2年3月まではレジェンドを活用して数学ⅠAⅡBCの総復習を行い,高校3年4月より本教材を用いて受験勉強を行うよう指示しました。ただし,高校2年1月に実施された外部模試で一定の基準値を超えた生徒については,基礎基本の定着は出来ていると判断し高校2年春休みより使用し始めるようにしました。
使用方法としては,高校3年1学期の間に「Review」「Exercise」を1周解き切ることを目標に各自でペース配分を考えさせました。さらに夏休みでもう1周を解き切り,ベースアップを目標としました。2学期には「Try」を中心に問題数をこなし,記述試験レベルまで対応できる数学力を獲得させます。
また,本校は高校3年1学期終了時には高校生が学習すべき内容のすべてを履修し終えます。そのため,夏期講習や2学期の授業では全範囲の復習・演習を行います。「Exercise」「Try」の良問(*のついているもの)を抜粋し,授業内で解説を行います。事前に予習をさせ,授業開始時に自身の解答をロイロノート(学習アプリ)で提出させます。授業ではペアワークやグループワークを行い,互いの解答や考え方を共有させたのちに教員からの解説を行います。解答冊子に記載されている解法はもちろんですが,別解を可能な限り紹介することで,自学自習で本教材を扱っている生徒にも,より深い知識を提供できる形をとっています。
ご使用された感想や,生徒の反応などはいかがでしたか?
【生徒の反応】
自習教材として使用している生徒にインタビューをしました。
各章の「Review」「Exercise」を解くのに,数学が得意な生徒なら1時間程度で取り組めるとのこと。負担としてはそれほど大きくないように思えます。また,「Exercise」は入試問題も扱っている分,「学校で習ったことの反復練習をする」という考えではいけないと気づかされたそうです。「基礎的な知識をいかに活用するか」に脳を働かせるので,今までに使っていない部分が刺激されるのかと。思考力を養うことに関して,非常に有用なテキストだと思います。
ただ,「Try」に手を出すとなると,一気にレベルが上がっているように思えます。動画があるといえど,中途半端な数学力で手を出すのは危険と感じたようです。志望する大学にもよりますが,関西大学や関西学院大学など誘導がしっかりしている私大の入試であれば,「Exercise」を繰り返し解いてみて,確実に得点率を上げる方がいいと思いました。同志社大学や国公立大学を考えるのであれば,より高度の発想力なども問われるので,「Try」まで手を出す必要があるかと思います。
【教員の反応】
授業で活用している分の感想については,バラエティ豊かな問題がちりばめられているので,教員の問題セレクション次第で,より質の高いものを提供できると感じました。
実際,授業では「数学Ⅰ:2次関数の最大・最小の場合分け」の次に「数学Ⅱ:3次関数の最大・最小の場合分け」を扱うこととしました(どちらも本教材で扱われている問題です)。こういった扱い方は,第1章から解き進めることが多い高校生にとっては効果的で,より深い知識を習得できているように思えます。
さらに別解の紹介については,自習教材で本教材を使用している生徒ほど,感動してくれている印象を受けます。一度は目にしている問題なので,解き方自体はわかっており,授業中は多少手持ち無沙汰になってしまうのですが,別の考え方を紹介すると,「そんな解き方もあるんか」と驚きと発見があるそうです。
本教材を使用した学年が初めてなので,最終的な数学力がどこまで向上するかはわかりませんが,期待できると確信しており,楽しみです。
川田先生,ありがとうございました!
※入試対策問題集『ニューグローバルトップ数学Ⅰ+A+Ⅱ+B+C』の詳細は,こちらをご覧ください。
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