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中学校

2024.04.24

【#22】若手先生の困り事相談 ~新年度のスタートアップの授業を考える②~

「佐藤寿仁先生と考える」では、授業づくりのポイントや教科書の使い方などについて、連載していきます。現場の先生方は、大変お忙しくて教材研究する時間が取りにくいところかと思います。少しお時間をいただき、立ち止まって一緒に考えてみませんか。(佐藤寿仁)

 今回は、若手の先生からいただいた困り事について、考えてみたいと思います。

新年度のスタートアップの授業を考える② 〜授業づくりの工夫〜

【#21】若手先生の困り事相談 ~新年度のスタートアップの授業を考える②~01

Q 新学期が始まり、授業が本格的に始まっています。今後の数学の授業を準備する際にできることを教えてください。

 数学の授業では、数学的活動が充実するように工夫をしてほしいです。その工夫につながるもののひとつとして、教科書にあるデジタルコンテンツを確認してみましょう。

 新学期がスタートし、授業も本格的に進めているところでしょう。今学期、また今年度、教科書を活用してどのように授業づくりを進めていこうかと考えている先生も多いことと思います。
 そのために、今回は「新しい数学1〜3」に付属されているDマークコンテンツについて取り上げます。授業へのICTの活用が求められていますが、教科書に付属されているデジタルコンテンツの活用は、生徒の主体的な問題解決に役立つものです。Dマークコンテンツを概観し、どの授業で、どんな場面で使えそうか、考えてみましょう。

□Dマークコンテンツの一覧を参照し、コンテンツを知る

 「新しい数学1〜3」には、たくさんのDマークコンテンツが設定されています。コンテンツは「シミュレーション」「動画」「他教科リンク」と3種類あり、授業における様々な場面での活用が考えられます。最近の数学の授業では、こうしたコンテンツを用いて問題解決するようなテクノロジーの活用がいわれています。先生が独自に作成することもよいのですが、こうしたコンテンツも有効です。この「佐藤寿仁先生と考える」でも何度か紹介してきました。まずは、先生がこのコンテンツを見て、触ることが大切です。数学の先生が集まる打合せの場でもよいですので、触ってみて授業で生徒がどのように使うとよりよく問題解決できるか、これを使うことでどんな数学的な見方・考え方を働かせることにつながるか考えてみましょう。特に「シミュレーション」は実際に先生が触ってみるこが大切です。

【#21】若手先生の困り事相談 ~新年度のスタートアップの授業を考える②~02
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【#21】若手先生の困り事相談 ~新年度のスタートアップの授業を考える②~03
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コンテンツ一覧(3年生)

□Dマークコンテンツを活用した授業づくり

 Dマークコンテンツは、ノートなどでの紙面においてはできないことを可能にします。
 例えば、新しい数学3のDマークコンテンツに「パズルで長方形をつくろう」があります。これは、「第1章2節因数分解」の節の導入にあたる場面(教科書p.23)で使用するものです。ここでは、正方形と長方形を組み合わせて長方形を作る活動を通して、長方形の面積とその縦と横の長さについて考察します。次時の因数分解への問を持つ大切な時間です。教科書p.273には自分で切り離して使う紙のものが用意されていますが、デジタルであればすぐに取り組むこともできます。

【#21】若手先生の困り事相談 ~新年度のスタートアップの授業を考える②~05

新しい数学3 Dマークコンテンツ「パズルで長方形をつくろう」

 例えば、面積が \(x^2+2x\) になる長方形については、下のようにつくることができます。これを面積が \(x^2+3x+2\) になる長方形を作ることはできるのかと問いかけ、このコンテンツを使用し、操作活動を通して長方形を見いだす場面を設定することができます。たとえ、下のように上手くいかないこともありますが、何度でもやり直すことができます。また、学習の足跡として残したい場合には、デジタルコンテンツであれば、画面をスクリーンショットすることで学級のみんなともやりとりができますし、自身に記録として残すこともできますね。
 数学での問題解決の際に、操作活動を設定することで観察や操作、実験する場面を充実させることができます。さらに数学的な結果について、生徒が実感を伴った理解することにもつながります。

【#21】若手先生の困り事相談 ~新年度のスタートアップの授業を考える②~06

新しい数学3 Dマークコンテンツ「パズルで長方形をつくろう」

 上の以外にも、たくさんのDマークコンテンツが掲載されています。まずは先生が見て、操作してみましょう。数学の授業づくりが楽しみになりますよ。

※参考資料

  • 新しい数学1〜3(東京書籍)
    ※Dマークコンテンツのリンクについては、各学年の教科書p.4に掲載されています。

【佐藤寿仁先生 略歴】
岩手県公立中学校で11年、岩手大学教育学部附属中学校で6年教職を務め、岩手県岩泉町教育委員会指導主事、国立教育政策研究所学力調査官・教育課程調査官を経て、令和3年度より岩手大学教育学部准教授。学校教育の充実や現職教員の職業能力開発の支援から、全国調査など国の教育のアセスメントに関わり、これからの教育について幅広く研究を進めている。

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