特集記事

 第13回の配信では、教科書の表紙についてご紹介します。
 なんでこの表紙なの?
 教科書の表紙ってどう決めるの?
など、疑問に思ったことはありませんか?表紙は教科書の顔です。
 子どもたちに、将来に役立つ算数を実感して意欲的に学習に取り組んでほしいという、編集部の願いが込められています。編集部が表紙に込める想いをぜひご覧ください。

【#13】教科書の表紙のひみつ01

表紙に込められた想いとコンセプト

 算数は、小学1年から6年までを対象とした教科です。
 当然のことながら、1年生と6年生では、見方・考え方や感じ方は異なります。これが、表紙を考える際に難しい点であり、かつ、楽しい点でもあります。
 今回の教科書の表紙では、さまざまな分野で活躍する方に作品制作を依頼し、算数・数学と私たちのつながりを感じたり、知的好奇心 をくすぐったりするものを目指しました。

<1、2年>

 楽しくかわいい雰囲気の場面に、子どもが算数的なストーリーを紐付けられる表紙。

3、4年>

 実物作品ならではの迫力に算数とのつながりが加わり、何度も見たくなる表紙。

5、6年>

 実物作品から抽象的な美しさや不思議さが滲み出て、何度も見たくなる表紙。

 3年以上の実物作品を用いた表紙は、一見すると算数と関係なさそうな職業の方にもお願いし、これなんだろう?と思わず二度見してしまうような、よく見ると算数の要素がたくさん散りばめられた表紙を作成しました。
 ここからは、各表紙の作成エピソードをご紹介します!

スイーツと算数? (3年)

 パティシエの長田さんと、編集部の打ち合わせ。
 その巻で学習する算数の内容も作品に入れてほしいと、無理なお願いをする編集部。「3年上は棒グラフ、巻き尺…。3年下は円や三角形をモチーフにしたいのですが…」とお願いしてみると、「分かりました。いくつか試作してみます」と快いお返事が返ってきました。次の打ち合わせの日に伺うと、様々な太さ、長さの棒グラフ、しなやかに曲げられる巻き尺、チョコソースで線がひけるチョコレートのコンパスが!
 (もちろん全部食べられます)
 編集部はただただ感激し、夢のような気分でした!撮影当日は時間との勝負です。クリームやチョコレートが、カメラの照明の熱で溶けてしまわないように、直前まで冷やしておいた作品をカメラマンさんが素早く撮影していきました。すばらしい作品の中に隠れている算数のモチーフを、子どもたちに楽しんで見つけてもらえたら嬉しいです。

【#13】教科書の表紙のひみつ09
パティシエ
長田 学さん
【#13】教科書の表紙のひみつ13
作成途中の算数スイーツ
【#13】教科書の表紙のひみつ02
【#13】教科書の表紙のひみつ

海ごみと算数? (4年)

 

 作者のあやおさんは、海ごみを自ら回収し、それらを用いて海の生き物を制作されています。
 表紙の作品に、海ごみに加えて算数に関連するものも材料に混ぜていただきたい旨お伝えしたところ、「新品の物は作品の材料として使わないことにしているので、壊れて使えなくなったものがあれば」との条件付きでご快諾いただきました。幸いにして、編集部には磁石がとれたり端が欠けたりしたおはじき、欠けたり折れたりしたものさしなど、算数の道具として役目を果たしたものが多くたまっていました。
 今回の表紙作品ではそれらを材料として蘇らせることができ、環境に貢献できた気がして嬉しくなりました。
 ぜひ、どこにどんな算数の教具が使われているか探してみてください。

【#13】教科書の表紙のひみつ10

海ごみアーティスト
あやおさん

【#13】教科書の表紙のひみつ04
【#13】教科書の表紙のひみつ

折り紙と算数? (5年)

 

折り紙作家の竹内ケイさんには、何度も何度も試作と打ち合わせを繰り返していただきました。
 折り紙のことには素人である編集部が、
 「もう少し立体的にできますか?」
とか、
 「もう少し幾何学的な組み合わせを取り入れていただけませんか?」
など、好き勝手なことをお願いしてしまいましたが、竹内さんはその都度、トライアルを繰り返してくださいました。
 撮影当日、「どのようにして作品をお持ちになるのだろう」と思いながらお待ちしていると、作品をいくつかの平面的なパーツに分け、スーツケースに入れてお持ちになりました。
 そして、例えば5年上の紫陽花をイメージした花は、平面状のいくつかのパーツを撮影直前にさっと組み合わせて、あっという間に立体作品を完成させていました。驚くと同時に、竹内さんの頭の中を覗いてみたくなりました。

【#13】教科書の表紙のひみつ11

折り紙作家
竹内 ケイさん

【#13】教科書の表紙のひみつ06
【#13】教科書の表紙のひみつ

建築家と算数? (6年)

 

 建築家の大野友資さんが以前にリリースされた360°bookという作品を見て、その発想と精巧さに惹きこまれ制作を依頼しました。
 360°bookとは、文字通り360°開く特殊な製本をした本で、各紙面に絵柄等が描かれています。そして、本を360°開くことによって、各紙面に描かれた絵柄等が組み合わさり、立体的な世界が登場する仕掛けになっています。
 表紙の作品では、各紙面にはシンプルな平面図形を描き、360°開くことにより立体図形があらわれるという数学らしさをイメージした作品を制作していただきました。撮影は、スタンドを使って3つの立体を空中に配置し、1カットで撮影しました。
 3つの360°bookの重なりによる影の出方、光のあたり具合による立体の陰影など、細かい質感も味わっていただけると嬉しいです。
 カメラマンさんとは、撮影日の何日も前から、何度もリハーサルを行いました。カメラマンさんは「久々に手強い撮影だ」などとおっしゃりながら、1カットで撮影したいという編集部の希望を叶えるべく力を尽くしてくださいました。

【#13】教科書の表紙のひみつ12

建築家
大野 友資さん

【#13】教科書の表紙のひみつ08
【#13】教科書の表紙のひみつ14
スタンドを使って
撮影している様子

 ここでご紹介した“ひみつ”以外にも「新編 新しい算数」の魅力はまだまだ他にもあります。ぜひバックナンバーもご覧ください。

「新編 新しい算数のひみつにせまる」バックナンバーは こちら

 令和6年度用教科書「新編 新しい算数」特設サイトでは、ここでご紹介した特長のほかにも新しい教科書の情報を掲載しています。ぜひ一度、サイトをご覧ください。

特設サイトは こちら

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