特集記事（小中学校）

　第11回の配信は、「今日の深い学び」についてです。
　「今日の深い学び」は、数学的活動による授業展開を例示したコーナーです。現行教科書でもご好評いただいている「今日の深い学び」ですが、実は、そのルーツは、平成23年度教科書までさかのぼります。
　本記事では、10年以上に渡り、磨き続けてきた「今日の深い学び」の変遷、一例についてご紹介します。

「今日の深い学び」の変遷

　前学習指導要領では、問題解決的な学習を通じて、思考力・判断力・表現力等を育成することが示されました。そこで、平成23年度教科書では、新コーナー「考えよう 伝えよう」を新設し、問題解決的な学習の流れを具体的に提示するとともに、思考力・判断力・表現力をいっそう伸長させることをねらいとしました。授業の中で友達の考えを読み取り、数学的表現を使って説明する姿を例示しました。また、ノート例もセットで示して、学習の過程をノートにまとめ、振り返ることを重視しました。

　令和2年度教科書では、現学習指導要領の下、「主体的・対話的で深い学び」を通じて、資質・能力を育むことを重視し、コーナー名を「今日の深い学び」と変更しました。授業ページでは、教材や指導のねらいに即した数学的活動を例示し、教材によっては、まとめの後に新たな課題を見出し、解決していく展開を紙面化しました。また、ノートページでは、問題解決の過程で働かせた数学的な見方・考え方をノートを見ながら振り返り、価値づけることを重視しました。さらに、1学年2回から3回に、設定箇所を増やしました。

　今回の令和6年度教科書では、数学的活動における数学化（A）と統合・発展（D）の過程にさらに工夫を重ねました。また、協働的な学びを通した個別最適な学びの充実も目指して、紙面内容をさらに進化させています。

　ここからは、「今日の深い学び」の一例を、現行紙面とともにご紹介します。

楽しく価値ある問題との出会いを（導入）

　これは、5年上「図形の角」の四角形の4つの角の和を求める学習です。令和6年度教科書のページ上段にご注目ください。

　ここでは、まず、前に学習した三角形の角の学習について、内角の和が180°であったこと、どんな三角形でも内角の和は同じであることを確認します。そして、四角形にも同じようなことが考えられるのではないかと仮説を立てた上で、四角形の問題に出会います。

協働的な学習を通して、自分の考えをより最適なものに（練り上げ）

　「今日の深い学び」の練り上げの場面です。
　補助発問の③、④にご注目ください。一問一答による内容理解から脱却して、「自分の考えと似ている考え」や「自分の考えと違う考え」を読み取り、説明する活動としました。自分の考えとの比較、検討を通して、より深く考えることを重視しています。多様な考えに触れる中で、自分の考えをより最適なものに変容させることを目指しています。
　さらに、⑤では、答えが合わずに困っている場面をあえて設定し、不完全な考えを完全なものにするための考察を促すことでさらに理解を深めていきます。

新たな課題を見出し、さらに追及（数学的活動の２巡目を例示）

　

　「今日の深い学び」のまとめの場面です。まとめの後の活動にご注目ください。
　「さらに学習を深めよう」では、四角形の内角の和について学習したことをもとにして、五角形、六角形等の他の多角形へと発展させて考えていきます。

問題との価値ある出会い、自立と協働、主体性の育成を願い

　

　このように、問題との出会いの過程および自立的、協働的に問題解決に取り組む態度や力の育成をさらに重視し、「今日の深い学び」を進化させました。
　今回の「今日の深い学び」は、２年下以降の各巻に掲載しています。ぜひ「今日の深い学び」にご注目ください。

　ここでご紹介した“ひみつ”以外にも「新編 新しい算数」の魅力はまだまだ他にもあります。ぜひバックナンバーもご覧ください。

「新編 新しい算数のひみつにせまる」バックナンバーは こちら

　令和6年度用教科書「新編 新しい算数」特設サイトでは、ここでご紹介した特長のほかにも新しい教科書の情報を掲載しています。ぜひ一度、サイトをご覧ください。

特設サイトは こちら