2025年11月に実施された,京都大学の特色入試(理学部数理科学)にて,次の問題が出題されました。(※画像を選択すると拡大します。)
これらが何を意味しているのか一見つかめませんが,この3つの等式を微分すると,次のようになります。
\(\begin{aligned}\cfrac{df(x)}{dx} &=-f(x)g(x) \text{…①} \\[5pt]
\cfrac{dg(x)}{dx} &=f(x)g(x)-g(x) \text{…②} \\[5pt]
\cfrac{dh(x)}{dx} &=g(x) \text{…③}\end{aligned}\)
これは,一般に「SIRモデル」と呼ばれる,感染症の流行を表す数理モデルのうち最もシンプルな形のものです。(Kermack-McKendrick,1927)
\(f(x)\) を未感染者(感染可能者),\(g(x)\) を発症者,\(h(x)\) を回復者とし,\(x\) を時刻とみると,①は「未感染者と発症者の積(新規感染)だけ未感染者が減っていく」と理解できます。
そして,③のように発症者は順次回復していきます。発症者の増減は,②のように新規感染と回復の差分として表されます。
このモデルを用いて,\(g(x)\) の最大値,すなわち,感染症流行におけるピーク時の発症者の規模を予想するのが,本問の背景となっています。
SIRモデルを題材とした教材は,教科書Advanced,Standard,Selectの数学B「数学と社会生活」の章でも取り上げています。
こちらは,文系の生徒でも取り組めるよう,離散化して漸化式で表現しています。
SIRモデルをテーマとした入試問題は,2021年の青山学院大学でも出題されました。
入試対策に限らず,社会的な意義も深い内容です。夏休みの自由研究として,取り上げてみるのはいかがでしょうか。
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