突然ですが,次の5つの記号や式について,授業で解説される際にどう読まれますか?
① \(\log_{a}b\)
② \(A \cap B\)
③ \(\overrightarrow{ \text{AB} }\)
④ \(\displaystyle \lim_{ x \to a } f(x)\)
⑤ \(\int_a^b f(x) dx\)
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東京書籍では以前に,数学記号の読み方について先生方にアンケートをさせていただきました。その結果によりますと…
読み方が割れたパターン
① \(\log_{a}b\)
ろぐAB | 45.5% |
ろぐAのB | 45.5% |
② \(A\cap B\)
AかつB | 42.3% |
AとBのきょうつうぶぶん | 33.3% |
AきゃっぷB | 15.7% |
③ \(\overrightarrow{ \text{AB} }\)
べくとるAB | 58.4% |
ABべくとる | 40.0% |
①のように「の」を挟むか否かは,「 \(a^2\) 」などでも同様に割れました。また,「 \(\log\) 」を「ろがりずむ」と読まれる回答が5.6%ほどありました。
読み方がいろいろなパターン
④ \(\displaystyle \lim_{ x \to a } f(x)\)
りみっとXがAにちかづくときのFX | 8.6% |
りみっとXやじるしA FX | 8.5% |
XをAにちかづけたときのFXのきょくげん(ち) | 3.9% |
りみっとXをAにちかづけるFX | 3.4% |
りみっとXA FX | 3.0% |
りみっとXをAにちかづけたときのFX | 2.1% |
りみっとXとぅA FX | 1.7% |
⑤ \(\int_a^b f(x) dx\)
いんてぐらるAからB FXDX | 13.0% |
いんてぐらるAからBまでFXDX | 10.8% |
いんてぐらるAからBまでのFXDX | 9.1% |
いんてぐらるAからBのFXDX | 8.3% |
いんてぐらるAB FXDX | 6.1% |
FXのAからBまでのていせきぶん | 4.4% |
FXのAからBまでのせきぶん | 3.5% |
AからBまでのFXのていせきぶん | 2.2% |
④,⑤のいずれも様々な読み方があり,表はその一部を抜粋したものです。また,「 \(f(x)\) 」を「FX」と読むか「FかっこX」と読むかでさらに細分化されますが,ここではまとめて集計しました。
さらに,④は「ちかづく/ちかづける」に「かぎりなく」を付けるか否かで細分化されますが,これもまとめて集計しました。
そのほかの数学記号では,「 \([F(x)]_b^a\) 」で無回答および「読まない」の合計が37.1%にものぼったことなどが特徴的でした。
いかがでしたでしょうか?
「これが正しい」という読み方がないが故に,細かな表現の違いに,個々人のお考えが垣間見えるようで興味深いです。
一方で,国語や社会のデジタル教科書では,本文の音声読み上げ機能が実装されているものもあります。音声読み上げにおいては,数学記号の読み方はなかなか難しい課題だったりもします。
よろしければ,今回の5つの数学記号の読み方についてアンケートにご協力ください!(2025年8月31日まで)
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