特集記事(高校)

高校

2024.10.24

「あと5分」を活かすための発問群の提案-数学Ⅱ・B編-(後編)【教育実践report】

茨城県立竜ヶ崎第一高等学校・附属中学校
小林 徹也 先生

(前編はこちら

「あと5分」の発問例:「明確にさせる」場合

 次に,「やるべきことを明確にさせる」場合である。数学的帰納法は次のように説明される。

「あと5分」を活かすための発問群の提案-数学Ⅱ・B編-(後編)【教育実践report】02
▲数学B Standard p.48

 このことから,数学的帰納法には[1],[2]という2つの証明があるともいえる。しかし,それぞれ証明すべき式がどのようなものか,問題文には明示されていない。
 例えば,次のような問題がある。

「あと5分」を活かすための発問群の提案-数学Ⅱ・B編-(後編)【教育実践report】04
▲数学B Standard p.49

 [1]\(n=1\)のときの証明は,①の両辺の\(n\)が\(1\)のときを考えればよいので,難しくないかもしれない。一方,[2]では証明すべき式

\(1+3+5+\)…\(+(2k-1)+\{2(k+1)-1\}=(k+1)^2\)

が書かれておらず,解答者はそれを明確にする必要がある。
 そこで,次のような発問が必要となる。

【発問0】 この問題を「数学的帰納法」で証明するとき,[2] で証明すべき式を書いてみよう。

発問後の授業展開・生徒の反応

 まず,上のように発問し1分程度個別に活動させる。その後,発問群により生徒の考えを確認したい。

【発問1】 まず,左辺はどうなる?

 \(1+3+5+\)…     \(+\{2(k+1)-1\}\)と書き,\((2k-1)\)を忘れる生徒もいる。誤りとはいえないが,これがないと,式①との差異が不明確となるので気を付けさせたい。

【発問2】 つぎに,右辺はどうなる?

 両辺に\(\{2(k+1)-1\}\)を加えて右辺を\(k^2+\{2(k+1)-1\}\)と書く生徒もいる。これは証明の途中で使うものだが,証明すべき式の右辺ではない。

発問群の活かし方

 上の発問は,証明を考えることの一部であり,証明を書く前に生徒自らもつべき「問」といえる。【「あと5分」の発問】ではあるが,生徒に身につけて欲しい「問う力」である。

「あと5分」を活かすための発問群のヒント

 最後にまとめとして次の提案をしたい。

  • 学びを少し違った角度から見せるために,既習の定理,公式等を別の表現にするような発問をする。
  • 問題を解く前に,明確にすべきことについて発問し,その後は生徒自らそのような「問う力」をもてるよう,指導する。

関連記事はこちら

>「あと5分」を活かすための発問群の提案(前編)【教育実践report】

その他のコンテンツ