川古の大楠
みさきです。今日は、佐賀県に行くんじゃないの?
りくです。ますりん、早く行こうよ。
うふふふふ。2人とも、まずこの写真を見て。佐賀県にある「川古の大楠(かわごのおおくす)」だよ。幹の周りは21m、高さは25mもあって、樹齢は3000年以上といわれているんだ。
佐賀といえば、クスノキ。はるか昔、日本武尊(やまとたけるのみこと)が栄えしげるクスノキを見て、ここを「栄の国」と呼んだ。そこから「佐賀」と呼ばれるようになった、という話があってね……。
それで、この木を実際に見に行けるの?
もちろん! そこでその前に、ミッションだ。2人が授業で使っているタブレットを使って、これと同じ構図の写真を撮るには、どうしたらいいと思う?
25mもある大きな木なんだから、全体を写すのは大変だね。ぐっと、後ろに下がらなくちゃ。
つまり、どれだけ離れたところから撮ればいいか、計算するっていうことだね。……そういえば、お日さまの影を使ってピラミッドの高さを測る話がなかったっけ?

ほら、こんなふうに自分の身長と影の長さが同じになったとき、ピラミッドの影の長さを調べれば、ピラミッドの高さがわかる。
うん、みさきさん、その通り。りくさんも、その話をよく知っていたね。
でもこの話、タブレットでクスノキを撮るときに、どう使えばいいんだ?
うーん。まず、私たちのタブレットの、カメラの性質を調べてみたら? 1mの定規を使えば、今すぐに実験できるよ。こうやって、壁に立てかけて。定規が画面にぴったり映るように、タブレットを後ろへ下げていく……。



105cmだね。このタブレットで1mの定規をぴったり写すには、1.05mの距離から撮ればいいってこと。
さすが、みさきさん。高さ25mのクスノキとあわせて、図にしてみるよ。

1mの定規を1つの辺とする三角形と、25mのクスノキを1つの辺とする三角形。これって、拡大図、縮小の関係だよね?
あ、本当だ! ここまでくれば、計算は簡単。
\(1.05 × 25 \text{=} 26.25\)
つまり、クスノキから26.25m離れた場所から撮影すればいいんだね。
2人ともバッチリ、ミッションクリアだ!
それじゃあ、いよいよ佐賀県へ。
さぁ、ぼくにつかまって。いっくよー!


(うふふふ……。みさきさん、りくさん。中学3年生になったら、「三角形と比の定理」を使って考えることもできるのよ……。)
えっ、誰? 誰の声?
わからないよ! 中3なんて、ずっと先だよ! それより、向こうにクスノキが見えてきた……佐賀県だ!
*川古のクス/佐賀県武雄市。国の天然記念物。樹齢は3000年以上とされる。奈良時代に名僧・行基が訪れ、この木の幹に観音像を刻んだという伝説がある。
*写真提供・イラスト作成:大野寛武
*写真提供:武雄市観光協会
〒843-0151 佐賀県武雄市
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