今週の算数・数学フォト
- TOP
- 今週の算数・数学フォト
- 不思議な塔の、瓦の数
あみです。大阪府の堺市にやってきました。ますりん、あれはなに? 普通の町に、いきなりピラミッドが建ってる。
なるほど、確かにピラミッドみたいだ。あれは「土塔(どとう)」だよ。元は大野寺というお寺の境内にある、仏塔だったんだ。行基(ぎょうき)という、奈良時代のお坊さんは知っているかな? ここ堺市の出身で、727年にこの土塔を作り始めたという記録も残っているんだよ。
ええっ。もしかして1300年以上も、キレイに残っているの?
いやいや、土や粘土と瓦でできた塔だから、さすがに保たないよ。あれは残っていた遺跡を調べて、2009年に復元されたものなんだ。すぐそこに、\(\dfrac{1}{200}\) の模型もあるよ。
へえぇ。上から見ると、きれいな正方形だ。1、2……屋根は12層になっているね。瓦で、びっしりおおわれてる。あっ。よく見ると、2種類の瓦が組み合わされているんじゃない?
あみさん、よく気づいたね。正方形の平らな瓦を敷き詰めて、そのスキマに丸い瓦を重ねているんだ。「本瓦葺(ほんかわらぶき)」といって、お寺の建築でよく見られる様式なんだよ。
全体を上から見ると、「正方形の瓦が、正方形の形にぴったりと敷き詰められている」と考えてよさそうだね。見た目はややこしそうだけど、実はスッキリしてた。これなら、使っている瓦のだいたいの枚数が計算できるかも!
いいね、あみさん。発掘調査によれば、底辺の1辺の長さは180尺。ちなみに当時の1尺は約29.5cmだから、1辺は約53.1mだよ。
50m走の長さよりも、少し長いくらいだね。うん。復元された土塔の大きさは、確かにそのくらい。
そして、正方形の瓦の大きさは、一般的に1辺が1尺だったと考えられている。
「cm」じゃなくて「尺」で考えると、シンプルでわかりやすいよ。1辺に、180枚の瓦を並べたんだね。平瓦の数は、\(180\times 180=32400\) 枚だ。あとは、その間に並んだ丸瓦の数の調べ方だね……。
平瓦と丸瓦では、どちらの数が多いかな? 丸瓦を乗せると、こんな図になるよ。
だいたい、同じくらいに見えるんだけどな……。うーん。あっ、そうだ。外側から1列ずつ、四角いワクみたいに区切って見てみたら、平瓦と丸瓦が交互に並んで、輪になっているみたい。同じ数だよ!
つまり、屋根に使われた瓦の全体の数は、さっきの平瓦を2倍して
\(32400\times 2=64800\) 枚になる。どうかな?
すごいよ、あみさん。瓦のおよその数を計算で出せたね!1枚1枚数えていたら大変だったよ。
千年以上むかしの建築なのに、よく見たらとってもわかりやすいし、しかもダイナミック構造だったな。建てた記録がちゃんと残っているのも、すごい。行基さんのことも、もっと知りたくなっちゃった。
*土塔/大阪府堺市。1953年、国の史跡に指定。発掘調査は1998年から行われた。
〒599-8234 大阪府堺市中区土塔町
その他のコンテンツ