今週の算数・数学フォト

2023.06.12

輪になって、レンガ作り

深谷駅

しほです。埼玉県の深谷市にきています。ここには昔、レンガを作る工場があったんだって。この深谷駅もレンガ調で、とってもきれい。

ますりんです。深谷といえば深谷ねぎが有名で、人気のゆるキャラもいるけど、今日はレンガだよ。ここ深谷市にあったのは、日本で最初の機械式煉瓦(れんが)工場。1907(明治40)年から1968(昭和43)年までの約60年間、せっせとレンガを作っていた。明治から大正にかけて、日本ではたくさんのレンガ造りの建物が建てられたんだけど、その材料を作っていた工場の1つなんだ。

【今週の算数・数学フォト】輪になって、レンガ作り05

*ホフマン輪窯6号窯西面(煉瓦製造終了後の1978年撮影)

レンガ造りといえば、東京駅とか? さっきから、深谷駅が何かに似ている気がしていたんだ。東京駅じゃないかな。

へえぇ。しほさん、行ったことがあるのかな? そう、東京駅の駅舎は日本で最大規模のレンガ建築で、材料はまさに、ここ深谷のレンガだよ。使われたレンガの数は、なんと約833万個!

【今週の算数・数学フォト】輪になって、レンガ作り02

833万? 想像もできないような数だよ……。それが全部、この場所で作られていたんだね。あれ? そういえば、レンガってどうやって作るんだろう。そもそも、レンガって何でできているもの?

主に、粘土で作られているよ。粘土を直方体にして干したものを、窯で焼くんだ。つまり、焼物だね。普通の焼物は、熱くした窯に乾燥させた生地を入れて、焼いて、冷めてから取り出して……と、とても時間がかかる。この工場には、たくさんのレンガを効率よく焼けるように考えられた巨大な「輪窯(わがま)」があったんだ。

輪窯……ということは、たくさんの窯が輪になっていたのかな?

ふふふふ。その通り! ドイツ人のホフマンさんという人が考えた、その名も「ホフマン輪窯」だよ。大きさは長さ56.5m 、幅20m、高さ3.3m。これをぐるりと輪になった18の部屋に分けて、窯詰め・予熱・焼成・冷却・窯出しの工程を、移動しながら回していったんだ。1部屋には約18000個のレンガを詰めることができて、およそ半月で、18の部屋を一周したんだって。

【今週の算数・数学フォト】輪になって、レンガ作り03
*ホフマン輪窯6号窯
【今週の算数・数学フォト】輪になって、レンガ作り04
*ホフマン輪窯6号窯平面図

あ。それだけ聞けば、この工場でどれくらいの数のレンガが作られていたか、計算できちゃうね。やってみるよ!18の部屋のレンガが半月で完成するわけだから、ひと月では
(1部屋分のレンガ)\(\times\)(部屋の数)\(\times 2\) で、
\(18000\times 18\times 2=648000\)
これに12をかければ、1年分の生産量。それが60年間、続いたんだよね。
\(648000\times 12\times 60=466560000\)
ひえぇ。およそ4億6700万個だ!

すごいよ、しほさん。計算もばっちりだ。

いったい、東京駅がいくつ作れるんだろう。東京駅に使われたレンガの数は、約833万個だったよね。割り算をすると、およそ56個になるよ。

東京駅以外にも、レンガの美しい建物がたくさん建てられていたということだね。ここ深谷のレンガが使われた建物を、探してみるのもおもしろそうだよ。

これからは、レンガの建物を見たら深谷を思い出すね。

このホフマン輪窯は今、保存修理のための工事中なんだ。工事が終わったら見学に行こうね!

*日本煉瓦製造株式会社旧煉瓦製造施設/1887年、創業開始。1997年、国の重要文化財に指定。
*東京駅丸ノ内本屋/1914年開業。2003年、国の重要文化財に指定。
*ホフマン輪窯の見学の再開時期は2024年(令和6年)頃の予定。

〒366-0029 埼玉県深谷市上敷免

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