今週の算数・数学フォト
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- 伊能忠敬の歩き方
今日はますりんと、千葉県の「伊能忠敬記念館」にやってきました。伊能忠敬は、日本の地図を作ったことで有名なんだよね。これは東北地方。青森、秋田、岩手県のあたりだね。こっちには富士山がかいてある。東の方には、神奈川県の大山もあるね。でも、見たところは普通の地図とあまり変わらないような。
*千葉県香取市 伊能忠敬記念館所蔵
いやいや、りくさん。その「普通の地図」というところが、すごいんだ。伊能忠敬が地図を作り始めたのは、ちょうど西暦1800年。まだドローンも人工衛星も、それどころか飛行機だってなかった、江戸時代だよ。当時55歳だった伊能忠敬は、それから17年もかけて日本中を歩いて測量して、これほどの地図を完成させたんだ。
そうか。空から見た日本の形なんて、誰も知らなかったんだ。誰も見たことがないものを初めて作ったのは、確かにすごいな。でもますりん、ただ歩いただけで、どうして測量できたんだろう?
伊能忠敬は、測量を始めたころに、いつでも同じ歩幅で歩けるように練習したんだって。その歩幅と歩数で、距離を計算したんだ。もちろん、巻尺のような道具も使ったみたいではあるけどね。
へえええ。地図を作ったこともすごいけど、作ったときのやり方をちゃんと記録しているのが、またすごいね。日記は大事だな。もしかして、伊能忠敬の歩幅が何cmだったか、どこかに書いてあったりして?
実は、ちゃんとヒントがあるんだ。「1町に158歩」と書いてある資料があって、ここから計算できるんだよ。町というのは、昔の長さの単位だね。1町は60間、1間は6尺、1尺は30.3cm。
1町は、10間じゃなくて60間なんだね。しかも、1間は10尺じゃなくて6尺なんだ。へんなの! でも、これで計算できるよ。まず1町は \(6 \times 60=360\) だから、360尺だ。1尺は30.3cmだから、1町は \(30.3 \times 360=10908\) で、10908cmとなるね。
これを158歩で歩いたわけだから、
\(10908 \div 158=69.03\)・・・
つまり伊能忠敬の1歩は、約69cmだ。
ばっちりの計算だよ、りくさん。しかも、彼はもっとすごい記録を残していてね……地図を完成させるまでに歩いたのは、約50000000歩だというんだ。ここから距離を計算すると
\(69 \times 50000000=3450000000\) で、3450000000cm
つまり、34500000mだから、34500kmとなるんだけど。りくさん、地球の一周は約40000kmだって知ってるかな? なんと伊能忠敬は、それに迫るくらいの距離を、自分の足で歩いて測ったんだよ!
*伊能忠敬記念館/千葉県香取市。測量器具、測量図、日記などの資料が保管されている。近くには、伊能忠敬旧宅も。
〒287-0003 千葉県香取市
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