特集記事

  • TOP
  • 特集記事
  • 【ICT教育のイマ】クロームブック活用術 実践㊱~デジタル教科書/操作編(3年 円④)~

中学校

2023.11.28

【ICT教育のイマ】クロームブック活用術 実践㊱~デジタル教科書/操作編(3年 円④)~

相模原市立相武台中学校
加藤光顕先生

 今回は、3年円の円周角の定理の学習で活用したデジタル教科書の有効な方法をご紹介します。

【ICT教育のイマ】クロームブック活用術 実践㊱~デジタル教科書/操作編(3年 円④)~01

①シミュレーションで条件を理解し、試行錯誤を深める

□単元:6章 円  □内容:p.177 円周角の定理の利用  □学年:中学3年

 教科書p.177は、学習した円の定理を使って、日常の問題を解決する応用的な内容です。ここでは、地図を用いながら、条件に沿って海上にいる船の位置を見つけることを目指します。はじめは三角定規の30°と90°を使い、最終的には作図して位置を求めることになりますが、その際に円周角の定理をどう活用するかがポイントとなるでしょう。

 題材がクイズのようで面白いため、生徒は意欲的に取り組みます。多くの生徒は持参した三角定規を使って、試行錯誤しながら条件に合う点を見つけようとしていました。しかし、なかには条件の意味がつかみとれずに、取り組めない生徒もいます。そのようなときに有効なのがデジタルコンテンツのシミュレーションです。クリックすると、問題の条件が表示され、それらを図で見ることができます。さらに、点Pを自由に動かして「AやCを見る」、「30°や90°右を向く」ことなどを、実際に確かめることができます。このような機能があることで、文章だけでは問題を把握できなかった生徒も、理解できるようになりました。

【ICT教育のイマ】クロームブック活用術 実践㊱~デジタル教科書/操作編(3年 円④)~02
【ICT教育のイマ】クロームブック活用術 実践㊱~デジタル教科書/操作編(3年 円④)~03
【ICT教育のイマ】クロームブック活用術 実践㊱~デジタル教科書/操作編(3年 円④)~04

さらに三角定規も表示させることができるので、確認する際にとても便利です。

【ICT教育のイマ】クロームブック活用術 実践㊱~デジタル教科書/操作編(3年 円④)~05

②シミュレーションで作図の解法を確認し、円の理解を深める

 三角定規で点Pを求めた後は、教科書.p179の問1にあるように、作図で求めます。解法のもとになるのは、円周角の定理ですが、生徒にはやや難しいかもしれないと私は思いました。それゆえ、次のように手順を示しながら生徒に作図させました。

【手順】
  1. \(\angle\)AOB\(=\)60°となる点Oをとり、0を中心として点A、Bを通る円Oをかく。
  2. CDを線で結び、CDの垂直二等分線を作図する。中点をO´とし、半径CO´とする円O´をかく。
  3. 円Oと円O´のA側にある交点が船の位置Pとなる。

 作図させた後には、「なぜ、この作図方法で船の位置Pが求められるのか」を生徒に考えさせました。考える際には、まず①~③の手順について次のような疑問を1つずつ解決する必要があります。

【ICT教育のイマ】クロームブック活用術 実践㊱~デジタル教科書/操作編(3年 円④)~06
  1. 「なぜ、\(\angle\)AOB\(=\)60°となる点Oを中心として点A、Bを通る円Oをかくのか?」「この円Oからわかることは何か?」「\(\angle\)AOB\(=\)60°になるとき\(\angle\)APBは何度になるか?」
  2. 「なぜ、CDを線で結び、CDの垂直二等分線を作図するのか?」「CDは円の何を表すか?」「\(\angle\)CPDは何度になるか?」

 これらの疑問を、円周角の定理や、直径と円周角の定理をもとに説明することで、学習した定理の活用方法を学べます。まさに作図のよさとは、「過程」と「理由」にあると言えます。作図について、過程を踏まえ、その理由を考えたうえで、根拠を明確に説明することが、図形の性質のより深い理解と、筋道を立てて考える論理的思考へとつながるのです。

 作図方法を確認する際には、デジタルコンテンツを使うことで、手間をかけずにわかりやすく確認できます。また、デジタルコンテンツは何度も見直すことが可能なので、作図手順の理由を考えるうえでも一助となることでしょう。

【ICT教育のイマ】クロームブック活用術 実践㊱~デジタル教科書/操作編(3年 円④)~07
【ICT教育のイマ】クロームブック活用術 実践㊱~デジタル教科書/操作編(3年 円④)~08

その他のコンテンツ