
教科書・教材のひと工夫(高校)
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- 【コラム】表紙に込めた編集部の想い


東京書籍の改訂版教科書Advanced,Standard,Select,Essenceの4シリーズの表紙は,これまでのイメージを一新!次のような形になりました。




今回これらのシリーズは,デザイナーの竹内雄二さんに装丁を手掛けていただきました。(竹内さんのインタビューはこちら)
高校生のみなさんに「持ち歩きたい!」と思ってもらえることを目指し,数学という学問のもつ “シンプルで,格好いい” というイメージを軸として,「“シンプル” ってどういうことだろう?」「どんな “格好いい” を目指す?」など竹内さんと試行錯誤しながら作り上げていきました。
シリーズ名を表す書体に潜むひと工夫

例えば,このStandardシリーズの「Standard」の文字について。
今回Standardシリーズは現場の先生方の声を受けて全面改訂いたしました。「Standard」の名前の通りオーソドックスながらも,刷新感・疾走感のある書体を選びました。

実はこの文字には
- 「S」の字体を少し大きくしつつも太さを他の文字と揃えるために細くする
- 「t」の前後の余白も微調整する
という竹内さんのひと工夫が加えられています。
オリジナリティがぐっと増し,見ていて飽きのこないデザインとなりました。

続いて,Advancedシリーズの「Advanced」の文字について。
Advancedシリーズは東京書籍の発行する教科書の中でも最も難易度が高く,そして数学における思考力を大切にした教科書です。
そこで,「Advanced」の名にふさわしい品格がありつつも,数学の長い歴史を感じさせる,どこかクラシカルな温かみのある書体を選びました。

また,Essenceシリーズの「Essence」の文字は,数学の基礎基本を丁寧に学んでいく軽やかさのある書体を選びました。

実はこれらも,竹内さんの手により,「A」「d」の文字,「E」の文字のバランスなどが絶妙に調整されています。これらも他にはない,独特の雰囲気が滲み出るデザインとなりました。
竹内さんから,編集部の要望をふまえて10種類ほどの書体のご提案をいただきました。その中でも目を引いたのが「3兄弟」としてご提案いただいた次の3種類です。 それぞれの個性に惹かれ,編集部の中でも票が割れたのですが,最終的には竹内さんいわく「一番イケメン」な次男を選ぶことにしました。
書体にも人間のような個性があるんだということを,竹内さんからのご提案で実感した印象的なひとコマでした。

そして最後に,Selectシリーズの「Select」の文字について。
街中でよく目にする書体のように見えつつも,少し角に丸みがあり,インク溜まり・インクの滲みを感じさせる,どこか懐かしさもあるアナログな書体を選びました。
この書体は,さまざまな企業ロゴや,東京書籍の新しい準拠問題集でも使われている定番書体Helveticaの原型であるNeue Haas Groteskという書体の姉妹版Alte Haas Groteskというものです。
こちらを竹内さんがご提案くださったとき,「数学に少しでも温かみ・手触りを感じてほしい」というSelectシリーズの編集を通して意識していたことにマッチするのを感じ,この書体に即決しました。(ちなみに,この「Select」の文字にはあえて手が加えられていません。)
さいごに
以上,新しい教科書の表紙について編集部の思い・裏話をご紹介いたしました。
ぜひ高校生のみなさんに「この教科書,持ち歩きたい!」と思っていただき,数学に少しでも前向きな思いを抱いていただけたらいいなと思っています。
電車やカフェで,これらの教科書を開いている高校生のみなさんに会える日を楽しみにしています!
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