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- 【算数・数学で考えよう! SDGs】数学的な見方・…
今回お届けするのは、弊社が運営しているSDGs学習サイト「EduTown SDGs」とのコラボ企画です!
本記事では、東京書籍の『新編 新しい算数』4年生上巻「算数で読みとこう 食べ残しをへらそう」(p.132)の教材を使った、算数・数学科の学習とSDGsで掲げられている社会課題の解決をテーマにした指導案をご紹介します。
ご実践いただいたのは、さいたま市立大砂土東小学校の天野翔太(あまのしょうた)先生です。
算数の時間にSDGsのような探究的な要素を取り入れる際のポイントや、ICTツールの効果的な活用方法、授業後の子どもたちの変化など、読み応えのある内容となっております。ぜひご覧ください!
~教えてくださった先生~
天野 翔太 先生
1985年生まれ。さいたま市立大砂土東小学校教諭。令和7年度文部科学大臣優秀教職員。平成30年度さいたま市長期研修教員(算数・数学)。志算研・EDUBASE所属。デジタル推進委員、「SDGsラジオ」アンバサダー、「Voicy(ボイシー)」パーソナリティ。「心理的安全性AWARD2023」において、小学校学級担任としてシルバーリングを初受賞。2024年度においても、2年連続シルバーリングを受賞。Xを中心に、心理的安全性を軸とし、算数授業及びICTの活用についても情報を発信。オフライン・オンラインセミナーの講師も多数務める。
1 授業の展開例
■ ①「SDGsについて確認する」および「本時の問題を知る」
導入ではまず、「今日の給食は残さず食べましたか?」という本時に関わる日常生活の事象についての質問から入ります。子どもたちの状況を確認した上で、「〇kg」というスライドを提示し、「何の重さだろう?」と問います。この重さは、自分の学校の「1日で出る給食の残食量」です。子どもたちは、その残食量の多さに驚くことでしょう。
次に、教科書132ページに掲載されている「日本では、令和3年度に、まだ食べられるのにすてられた食品が約523万tもあったそうです。」という情報を提示します。そして、「523万tは、国民全員が、1年間毎日茶わん1ぱい分の食料をすてるのと同じくらいの量」であることも伝えます。子どもたちは、先ほど以上に驚くことでしょう。

最後に、残食量の多さとSDGsとの関連を伝えます。その際に活用したいウェブサイトが「EduTown SDGs」です。EduTown SDGsを活用し、本教材への興味・関心を高めた上で、本時の問題に入っていきます。

【本時の問題】
なお、ここでは、データ1のグラフの表題、縦軸、横軸等を丁寧に確認するとともに、以下のような棒グラフや折れ線グラフの学習で働かせ、豊かにしてきた数学的な見方・考え方を言語化・顕在化し共有します。

折れ線グラフ:最大値や最小値、変化の割合など
■ ②自分学習をする
はるとさんの予想の正誤に取り組むか、みさきさんの予想の正誤を考えるかの順序等については、子どもに委ねます。自分が「確かめたい」と思った予想から取り組むことで、データをもとに考えようとする姿勢や、自分の判断をつくろうとする主体的な学びがより促されるからです。ここでは、二人の予想の正誤を解答することよりも、どちらか一方の予想について根拠をもって解答することを重視します。

そのため、考えを記述する際には、どのデータを根拠として用いたのかを明確にするよう声を掛けます。また、必要に応じて、子どもがその考えに至った発想の源を問い返し、どのような数学的な見方・考え方を働かせたのかを言語化・顕在化できるようにします。さらに、そこで表れたより適切な数学的な見方・考え方について学級全体に共有されるよう周知することで、子ども同士が思考の流れを互いに理解し合い、データの活用における多様な視点や判断の仕方を広げていきます。これが、全体で話し合うときにも有効に働きます。

この際に、「Canva」などの協働学習支援ツールを活用することで、互いの考えを参照・共有できるようにしておくとよいです。子どもが自分の考えを可視化し、他者の考えと容易に比較できる環境が整うことで、根拠の違いや見方・考え方の多様性に気づきやすくなるからです。
右の二次元コードから、筆者が実際の授業で活用したCanvaテンプレートがダウンロードできます。ぜひご活用ください。

■ ③問題についてみんなで話し合う
先ほども少し述べたように、Canvaのホワイトボードを活用して、なるべく全員の考えが可視化できるようにします。一人ひとりが書いた根拠や気づきを同じ画面上で一覧できるようにすることで、子ども同士が互いの視点の違いに気づきやすくなり、話し合いの土台が整うためです。また、ホワイトボード上に付箋や図を使って整理することで、どのデータを根拠にしたのか、どのように考えを組み立てたのかが自然と見える化され、全体での議論がスムーズになります。

さらに、必要に応じて生成AIを活用し、子どもの思考を深めるための問い返しや、複数の考え方の比較などを提示することもできます。例えば、「Aさんの考えと比べてどこが同じでどこが違うか」など、思考を広げるヒントを生成AIに補助してもらうことで、子どもの更なる気づきや問いを引き出すことができます。
このように、全員の考えを可視化し、必要に応じて生成AIの支援も取り入れることで、子どもたちが互いの考えを尊重しながら深く議論できる環境をつくることができます。
一方で、データを活用して判断する際に大事な考え方は、「論理的な思考」と「批判的思考」です。教師がしっかりと「なんで?」「本当に?」と問い返すことで、子どもは自分の根拠を見直し、データと結び付けて説明しようとする姿勢が育っていきます。また、思い込みに気づいたり、他の見方を考えたりするきっかけにもなります。さらに、「どうしてそう考えようと思ったの?」と問い返すことで、子どもが働かせた数学的な見方・考え方を言語化・顕在化し、共有します。数学的な見方・考え方の言語化・顕在化の積み重ねが、データをもとに判断する力を育て、深い学びへとつながっていきます。
■ ④本時のまとめをする
最後にデータ6(右図)を提示し、本時の学習内容だけではなく、自分たちの生活についても振り返ることができるようにします。なお、振り返る視点は、「大事だと感じたポイント(数学的な見方・考え方)について」「自分の生活と食べ残しについて」の2点にするとよいでしょう。

【実際の子どもたちのまとめの一部】
〇よくきらいなものが出ると残しがちだけど、SDGsを知って、ご飯が食べられるだけ幸せだなあと思いました。だから、これからはきらいなものを食べようと思います。
また、本時では、「主体的に問題解決に取り組むとともに、グラフや表の読み取り、問題解決の結果やプロセスを振り返り、生活に生かそうとしているか」を評価のポイントにしています。
2 授業のまとめと振り返り
以下の画像は、本時終了後の板書です。

本時は、年間指導計画において1校時で位置づけられています。しかしながら、「SDGs への興味・関心の向上」や「本時のねらいの確実な達成」を考えると、2校時扱いでじっくり取り組むことが望ましいと考えています。本実践でも、議論の深まりが浅かったという反省があります。
特に、データをもとに自分の考えを形成し、他者と比較しながら深めていく学習過程には、一定の時間的余裕が必要です。1校時では、予想の検討、根拠の整理、全体での共有といった一連の学びを十分に保障しにくく、子どもが「なぜそう考えるのか」を掘り下げる時間が不足しがちです。2校時扱いとすることで、データの読み取りや話し合いの質が高まり、SDGs への関心を自分事として捉えるための対話や振り返りも丁寧に行うことができます。結果として、単なる知識の理解にとどまらず、持続可能な社会に向けて考え続ける姿勢の育成にもつながります。
3 天野先生への一問一答
EduTown SDGsは、SDGsの背景や課題を分かりやすく提示できるため、授業の導入として非常に効果的でした。子どもたちが学習の目的をつかみやすくなります。
― 算数の他の単元の授業と比べて、子どもたちの反応はどうでしたか?
身近な事象とSDGsを関連付けることで、学習内容が自分ごととして捉えられ、子どもたちの興味・関心が高まりました。身近な事象を意味のある事象(自ら働きかける価値があり、働きかけることで何かを変えることのできる事象)へと発展させていくことは、データの活用領域全般に共通して大事な要素だと考えています。
― 今回の授業前と授業後で子どもたちに変化はありましたか?
子どもたちのまとめの記述から、「SDGsへの興味・関心が高まったこと」や「給食の食べ残しを減らそうとする意識が強まったこと」が読み取れ、確かな変化を感じました。
― 算数とSDGsにはどんなつながりがあると思いますか?
SDGsを題材にすることで、算数の学びが社会や自分たちの生活とつながっていることを実感でき、学習の意義をより深く理解できます。また、SDGsを切り口にすることで、算数科への学びに向かう力の向上にもつながると考えています。
〇「EduTown SDGs」とは
記事内で紹介された「EduTown SDGs」は、小学生から高校生までを対象とした、SDGsについて一から学べるウェブサイトです。ウェブサイトでは、SDGsの17の目標とそれらの解決に取り組む企業の事例を解説映像と解説記事から学ぶことができます。

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